「主体性のなさを露呈」石破首相が"変節"した事情 目立つ論功、「高市造反・茂木排除」で分断拡大
東洋経済オンライン / 2024年10月3日 18時0分
新内閣の陣容は、石破氏が前日までに固めたため、新聞各紙は1日付け朝刊で詳細に報じ、主要閣僚として財務相に加藤勝信元官房長官、外相に岩屋毅氏、防衛相に中谷元氏がそれぞれ就任。岩屋、中谷両氏に防衛相経験者で、防衛専門家を自認する石破首相は、総裁選などで提起した日米地位協定見直しなどに取り組ませる方針だ。
また、総務相には石破首相と極めて親しい村上誠一郎元行政改革担当相が起用されたが、同氏は故安倍晋三元首相を「国賊」と呼んで役職停止処分となった過去もあり、村上氏は「あの時、直ちに、ご遺族に謝罪申し上げた。そのことについては終わったものと考えている」と釈明したが、高市氏や旧安倍派などが猛反発する事態となっている。さらに、首相指名後の自公党首会談で、公明党の斉藤鉄夫国土交通相(72)の再任が決まった。
「脱派閥」アピールも、女性閣僚は2人だけ
新内閣全体をみると、首相と閣僚計20人のうち無派閥(旧石破グループ、旧谷垣グループ含む)は11人と過半数で、「脱派閥」をアピールする陣容ともみえる。その他は、麻生派、旧茂木派、旧二階派から各2人、旧岸田派と旧森山派から各1人という内訳で、旧安倍派は入閣ゼロだ。初入閣組は13人だが、女性閣僚は阿部俊子文科相(65)、三原じゅん子こども政策担当相の(60)の2人だけで、前岸田内閣の5人から急減した。
主要閣僚の村上、岩屋両氏を含め、赤沢亮正経済再生担当相、伊東良孝地方創生担当相ら6人は総裁選で石破氏の推薦人。特に赤沢氏は石破首相の最側近だ。また、総裁選で小泉進次郎氏を推した坂井学国家公安委員長も、決選投票では石破氏支持に回ったとされ、今回の石破人事では、「総裁選での論功行賞」の色彩も鮮明となっている。
その一方で、総裁選出馬組では林氏が官房長官再任となり、加藤氏が財務相として再入閣した。さらに、高市早苗、上川陽子、河野太郎の3氏は閣僚から外れたが、上川、河野両氏と小泉、加藤両氏の推薦人は計6人が閣僚に起用された。ただ、「決選投票」で石破首相と競り合った高市氏の推薦人は“除外”となった。
新内閣閣僚20人の平均年齢は63.6歳。直近の第2次岸田再改造内閣発足時(2023年9月)の63.5歳と同レベルだが、歴代内閣に比べれば高齢だ。当選回数は石破、村上両氏の12回が最多。最高齢は伊東氏の75歳、最年少は福岡資麿厚生労働相の51歳で、初入閣組も衆院5回以上か参院3回以上のベテランのため、40歳代の若手閣僚は姿を消した。
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