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IBMも決断、止まらない地銀システム「大同団結」 システム共同化を契機に業務提携の深化も

東洋経済オンライン / 2024年10月9日 7時10分

基幹システムは銀行間で競争を繰り広げるよりも、協調する時代だ(写真は10月1日の記者発表会、記者撮影)

日本IBMは10月1日、地方銀行向けに新たな基幹システムのプラットフォームを提供すると発表した。三菱UFJ銀行やインターネットイニシアティブと協力してインフラを構築し、複数の地銀が乗り合う。

【図表】最大20行程度の地銀が日本IBMの新しいプラットフォームに参加か

基幹システムの大規模な共同化はNTTデータが先行して標榜しており、形態は異なれどIBMもこれに続いた形だ。基幹システムを媒介に地銀が結集する「大同団結」は、ベンダーの乗り換えやシステムを超えた地銀同士の業務連携も喚起しそうだ。

「共同化の共同化」

「プラットフォームを1つにしていこう、というのは自然な流れだ」。日本IBMの山口明夫社長は力を込める。

このほどIBMが共同化を進めるのは、預金や決済、為替といった銀行業務を支える基幹システムとその周辺システム、API基盤などだ。中でも基幹システムは、三菱UFJ銀行が設立した新会社がIBM製のメインフレーム(大型のコンピューターシステム)を一括して調達し、地銀に賃貸する。

三菱UFJ銀行が主体となる理由は、同行の基幹システムがIBM製であるだけでなく、地銀の共同化システム「Chance」の基盤にもなっているからだ。Chanceは現在、地銀8行が採用しており、IBMのプラットフォーム構想についても参加を検討している。

また、このプラットフォームには八十二銀行を中核とする共同化システム「じゅうだん会」を採用する7地銀や、同じくIBM製の共同化システムである「Flight21」を採用するふくおかフィナンシャルグループなどが、すでに採用を決めている。

基幹システムの共同化からさらに一歩進んだ「共同化の共同化だ」(山口社長)。千葉銀行を中心とする「TSUBASA」の参加可否については明言を避けたが、「(参加行)を1行でも多く増やしたい」(同)という。

「共同化の共同化」のメリットは、規模の経済が働くことだ。地銀にとっては保守費用の抑制や技術者の有効活用、一括調達によるメインフレームの安定供給などが期待できる。加えて、基幹システムという共通項を越えた、地銀同士の業務提携という副次的な効果も期待できそうだ。

共同化を進める地銀の間では、システム以外の側面でも連携を深める傾向にある。Chance参加行は2023年末、ストラクチャードファイナンスの案件情報やノウハウを共有する協議会を立ち上げた。じゅうだん会も定期的に会合を開き、参加行の間で情報交換を行っている。

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