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ディズニーストアの英断「商品数8割減」の勝ち筋 きっかけは「何も買わなかった」客への調査から

東洋経済オンライン / 2024年10月10日 16時20分

ところが、日本に帰国すると、ディズニーストアにはオペレーションマニュアルがありませんでした。1992年にオープンしてから7年が経過し、アメリカからは優秀なエクスパット(駐在員)が派遣されていたにもかかわらず、です。

私は急遽アメリカから持ち帰ったオペレーションマニュアルを日本語に翻訳させ、スタッフへの徹底的な指導を始めることを決めました。

痛感したのは「飲食店」と「小売店」の違い

さて、外食産業のマクドナルドから物品販売業のディズニーストアに転職してからというもの、私はその両者の違いを強く痛感するようになりました。

外食産業では、「回転率」と「客単価」がとても重要です。外食の店舗では、来店した人がほぼ100%何かを買ってくれるのが当たり前だからです。もちろん、客席が満席なら話は別ですが、ほぼ間違いなく来店=購入となっています。

ですから、いかに回転率を上げるか、いかに客単価を大きくするかが大事なのです。

しかしながら、マクドナルドの場合は、ドライブスルーを運営していますので、客席数が関係ないため、回転率よりもむしろオペレーションの時間をどれだけ短縮できるかということが重要になってきます。そのため、マクドナルドでは、従業員たちは回転率・客単価に加えて、オペレーションの質を高めて時間を短縮するということにも心血を注ぐようになるのです。

それとは反対に、物販の世界では、100人のお客様が来店しても、その100人全員に何かを買ってもらえるとは限りません。私たちが日本のコンビニエンスストアの売上を分析したところ、来店した人のうち何かを購入してくれた人は50%を切っていました。

この来店した人に占める何かを購入してくれた人の比率を「買い上げ率」と呼びます。私は、物販ではこの買い上げ率が非常に重要だということを知り、なんとかして買い上げ率を向上させようと努めました。

買い上げ率を計算するには、まず、来店者数を正確にカウントする必要があります。

そこで、私たちは店舗入口の天井に数百万円もするトラフィック・カウンターを設置し、買い上げ率を把握できる環境を整えました。その当時、買い上げ率を調べるためにトラフィック・カウンターを設置していた企業は、ディズニーストアとギャップだけでした。もちろん、ともに外資系企業で、日本の企業は買い上げ率という概念そのものにまだ関心を持っていなかった時代です。

それでは、物販における買い上げ率は、だいたいどの程度なのかというと、ユニクロを例に挙げますと、1998年11月に出店されたユニクロ都心第1号だった原宿明治通りの店舗で約20%だったと思います。流行りに流行って、売れに売れているユニクロでも買い上げ率はその程度だったのです。

買い上げ率を1%上げると、売上が10%も上がる

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