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国際石油市況の軟化の裏に中国の「EVシフト」 世界最大の自動車市場で新車の半分がEV・PHVに

東洋経済オンライン / 2024年10月10日 19時0分

中国は世界第2位の石油消費国であり、需要構造の変化が国際石油市況に与える影響は大きい(写真は中国のエネルギー海運大手、中遠海運能源運輸のウェブサイトより)

石油需要の変動は景気循環と密接な関係がある。国際原油相場は2024年7月から下落傾向が続き、9月上旬には1バレル当たり70ドル(約1万円)を割り込んだ。

中国では大型トラックの天然ガス車への転換も加速している

その要因について、市場関係者の間では「中国の需要が予想以上に落ち込んだため」との見方が主流になっている。中国の景気は7~9月期から明らかに減速しており、石油製品の需要が減少しているのは事実だ。

景気循環だけでは説明できず

とはいえ、石油市況を左右するのは景気循環だけではない。今日においては、再生可能エネルギーの大量導入に象徴されるグローバルな「脱炭素」の動きとともに、(世界最大の自動車市場である)中国の急速なEV(電気自動車)シフトの影響が無視できない。

中国の新車販売台数に占めるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の比率は過去数年で急上昇し、2024年8月には53.9%に達した。これは新車の2台に1台以上がEVまたはPHVになったことを意味し、中国の石油需要に(景気循環とは別の要因として)多大な影響を与えている。

中国の石油消費は世界全体の約16%を占めている。その中でも、自動車が消費する(ガソリンや軽油などの)精製石油製品の割合は大きい。

(訳注:中国では石油消費の4~5割が交通運輸セクターで使われているとされる)

それだけではない。EV・PHVは普及率の上昇と同時に、1台当たりの走行距離も大幅に伸びている。中国ではネット配車サービスに(ガソリン車よりもランニングコストを抑えられる)EVが大量投入されており、個人のマイカーよりはるかに長距離を走行しているからだ。

中国の先物取引業者、華泰期貨の予想によれば、中国市場におけるEVとPHVの販売台数は2024年に1000万台を上回り、累計の保有台数は3000万台に達する。それにより、中国のガソリン消費は(すべてガソリン車だった場合に比べて)15%以上縮小する可能性があるという。

大型トラックも天然ガス車に

今後、自動車の保有台数に占めるEV・PHVの比率がさらに高まるにつれて、中国のガソリン需要はピークを打ち、減少に転じていく。

中国の国有エネルギー大手、中国石油天然気(ペトロチャイナ)のシンクタンクである中国石油経済技術研究院は、中国の石油需要が2030年より前にピークを迎えると予想する。中でも(ガソリンや軽油などの)精製石油製品の需要は、EV・PHVの普及や大型トラック用燃料の軽油から天然ガスへの切り替えが加速することで、2025年までに頭打ちになる可能性があるという。

4~6月期の中国の石油需要が予想を下回った背景について、アメリカの金融サービス大手のS&Pグローバルは、最新の調査レポートで次のように分析した。

「中国経済の減速、建設業および製造業の需要低迷、異常気象の頻発などさまざまな要因がある。それらとともに、乗用車のガソリン車からEV・PHVへの置き換え、大型トラックのディーゼル車から天然ガス車への置き換えが大きく影響したのは明らかだ」

(財新記者:王晶)
※原文の配信は9月23日

財新 Biz&Tech

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