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石破首相の勝敗ライン「自公で過半数」の難しさ 党首討論で野田氏と「がっぷり四つの論戦」展開

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 7時20分

特に、馬場氏が憲法改正について「衆参両院の憲法審査会で改憲論議が進まない。この壁を突破するために首相がスタートボタンを押すべきだ」と注文をつけると、石破首相も「(改憲は)自民の党是だ。党総裁として改憲が発議され、国民投票をする日が一日も早くなるよう、可能な限り努力する」と応じた。

また、田村氏が「最低賃金の大幅引き上げには、中小企業への直接支援が必要」などと要求したのに対し、石破首相は「全体主義国家ではないので政府が直接お金を払う手法が必ずしも正しいとは思えない」と反論しつつも、「あなたの思いは私とも共通する部分がある」などと、あえて寄り添う姿勢もにじませた。

石破首相は討論の最中には、身を乗り出して相手の主張、要求を聞き、大きくうなずく場面も多かった。その一方で、石破首相の背後に陣取った与党幹部や閣僚たちは総じて複雑な表情で見守る場面も多かった。とりわけ、石破氏の力を込めた反論に苦笑する閣僚もあり、従来の党首討論に比べて与党席からの拍手もまばらだったことが、「石破首相に対する党内の不満の広がりを浮き彫りにした格好」(自民長老)だ。

この党首討論に先立ち、政府は9日午前の臨時閣議で衆院解散を決定。これを受け党首討論から間を置かず、午後3時半に解散のための衆院本会議が設定された。しかし、野党側がその直前に内閣不信任決議案を提出したため、本会議開始が約30分間遅れるという異例の事態ともなった。

官邸会見で「勝敗ラインは自公で過半数」と明言

こうした解散までの経過も踏まえ、石破首相は9日夜、首相官邸で会見し、“裏金議員”の公認問題も含め、衆院選に臨む自らの姿勢をアピールしたが、その中で今回の解散を「日本創生解散」と命名してみせた。さらに、勝敗ラインについては「自公両党での過半数(233議席)の獲得」と明言した。

この勝敗ラインは、2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、安倍晋三(故人)、菅義偉、岸田文雄各首相が掲げたものと同じだ。ただ、「これまでは簡単に超えられるハードルだったが、今回ばかりは身長を超える高さとなる」(自民選対)との見方も多く、多くの選挙専門家の事前予想でも「自公過半数割れの可能性は少なくない」(有力アナリスト)との指摘が出ている。このため、与党内に「自公過半数割れとなったら、石破首相の責任が厳しく問われ、政局が大混乱に陥る」(閣僚経験者)との不穏な臆測も広がる。

そうした状況の中、石破首相は10日午前0時過ぎに政府専用機で飛び立った。就任後初の首脳外交のための外国訪問となるASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議などに出席するためで、10日朝には開催国のラオスに到着した。石破首相は同首脳会議に合わせて、韓国や中国などとの首脳会談も行い、各国の首脳との関係構築を図りたい考えで、帰国は12日朝となる予定。

これに先立ち、石破首相は9日夜、首相官邸で記者団に対し「日本とASEANは信頼のパートナーであり、関係をさらに強化し、安全保障分野などでの協力をさらに進めたい」と石破外交への意欲と自信をアピールした。

ただ、石破首相にとって、衆院解散直後の外国出張となることに加え、帰国後の12日午後には日本記者クラブ主催の「党首討論会」が設定されているなど、「超過密スケジュール」(外務省幹部)を余儀なくされる。党首討論後の衆院本会議ではあくびをかみ殺す場面もあり、疲労の色は隠せなかった。

このため、官邸筋も「帰国直後から遊説日程が詰まっており、体力が続くかどうか」と不安を隠せず、石破首相にとって、自らが決断した「10・27衆院選」までの半月余りは「まさに死に物狂いで戦うしかない」(側近)こととなることは間違いなさそうだ。

泉 宏:政治ジャーナリスト

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