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サムティにTOB、投資ファンドが1000億円規模 成立後に非公開化、売却益から安定収益に軸足

東洋経済オンライン / 2024年10月11日 17時15分

シンガポール系の投資ファンドが、中堅不動産会社のサムティHDを買収する(画像:サムティHDのホームページ)

東証プライム上場の不動産会社「サムティホールディングス(HD)」を、シンガポール系の投資ファンド「ヒルハウス」がTOB(株式公開買い付け)によって買収する方針を固めたことが東洋経済の取材でわかった。買収額は約1000億円で、サムティHDはTOB成立後に上場廃止となる。

【画像】東証プライム上場のサムティHDをTOBで買収する「ヒルハウス」とは何者か?

関係者によれば、ヒルハウスは月内にもTOBを開始し、サムティHDの株式を取得する。買い付け価格は1株当たり約3300円となる見込みで、直近株価に15%程度のプレミアムが乗る計算だ。大株主である大和証券グループ本社および大和PIパートナーズはTOBに応募せず、非公開化後もサムティHDの株主として残る。

成長に向け非公開化を決断

サムティHDの中核会社であるサムティは1982年に設立された。賃貸マンションやオフィス、ホテルなどの開発や運営管理を行い、既存物件の再生も手がける。2015年には住宅に特化したREIT(不動産投資信託)も上場させた。2023年11月期決算では連結売上高1986億円、純利益103億円を計上している。

サムティの主な収益源は、もともと物件売却によるキャピタルゲインだった。だがコロナ禍を経て、開発物件の賃料や管理手数料、ファンドの運用報酬を重視する方針を掲げていた。

事業拡大のための資金需要がかさむ中、資金力や投資実績が豊富なヒルハウスと協業し、非公開化での成長を進める考えだ。

サムティHDを買収する予定のヒルハウスは、イェール大学基金からの出資を受けて2005年に設立された投資ファンドだ。プライベートエクイティーや不動産、プライベートクレジットなど、幅広いオルタナティブ資産への投資を手がける。

アメリカやアジアなど世界各地に投資し、2021年にはオランダのヘルスケア大手・フィリップスの家電事業を約4800億円で買収した。日本には2009年に投資を開始し、今年9月には飲食店システムを手がけるダイニーにリード投資家として出資した。

不動産業界においては2017年に、共同投資家とともにシンガポールの物流施設デベロッパーのGLPを約1兆3000億円で買収するなど、計35億ドル以上の投資実績がある。サムティHDについても、不動産ファンドの組成やM&Aによる収益拡大を検討しているようだ。

足元では上場企業へのTOBが増えている。短期的利益の追求や株主還元を求められる風潮に嫌気が差し、非公開化を選択する企業は今後も増える可能性がある。

一井 純:東洋経済 記者

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