遂に決勝「キングオブコント2024」見所を徹底解説 今年はどんな傾向?準決勝も注目株が揃う
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 12時30分
そもそも漫才コント、歌ネタ漫才を得意とし、「野球部あるある」のショート動画がバズるなど、ボケ・大原の多彩さは漫才の範囲に収まらないものがあった。今年はそんな彼らが、非日常の中で繰り広げられる実にバカバカしいコントを披露していた。
シチュエーションとキャラクターとの絶妙な対比、後半に向かって着実に見る者を仕留めていくスタイルは、昨年のKOC王者・サルゴリラを彷彿とさせる。昨年、今年と勢いに乗る彼らが王者になる可能性も十分にあるだろう。
一方で、2年ぶり3度目のファイナリストとなったロングコートダディの堂前透と兎、2年連続で決勝に残った隣人の橋本市民球場と中村遊直も、それぞれ違った世界観で会場を沸かせていた。当日、その独特の空気感がハマれば念願の優勝を果たすかもしれない。
同じ非日常型でも、インパクトの強さで目を引いたのがニッポンの社長とcacaoだ。
ニッポンの社長の辻皓平とケツは、5年連続のファイナリスト。ギリシア神話に登場する怪物同士の出会いを描いたネタ「ケンタウロス」、1人はあらゆる凶器を躊躇なく使う男、もう1人は不死身の男、という特殊な友人同士が意中の女性を巡ってケンカするネタ「空港へ行け」など、決勝では毎度賛否が分かれるコントを披露してきた。
今年も、その路線は崩していない。もはや“ニッポンの社長らしさ”と言えるような理不尽なシステムが働いていた。優勝するかどうか以前に、このアウトローなスタイルで5回決勝まで進んでいる事実こそ賞賛されるべきではないか。
そして、初の決勝進出を果たしたcacaoの浦田スターク、高橋、たっぺいも、ニッポンの社長とは違う意味で強烈なネタを持ってきた。メンバー全員20代で、トリオを結成して5年目。どちらかと言えば漫画チックなコントを特徴としていて、準決勝では「その方向に振り切った」という印象を受けた。
若さゆえの身体性もあり、キビキビとこなすバカバカしさが妙に脳裏に焼き付いている。今大会最年少ゆえの勢いに期待したい。
今年はシソンヌ・じろうが初審査員に
今年は東京03・飯塚悟志、バイきんぐ・小峠英二、ロバート・秋山竜次、かまいたち・山内健司という例年の4人に加え、シソンヌ・じろうが審査員を担当する。日本屈指の人気コント師・じろうがどのネタを評価し、どうコメントするのかも気になるところだ。
とはいえ、見方を変えればKOCは日本最大級のコントのお祭りでもある。ファイナリスト全組がベストな状態で舞台に立つ姿を何よりも楽しみにしている。
鈴木 旭:ライター/お笑い研究家
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