がんばれ日本のU-NEXT「ハリポタが救いの手」 ライト層にとって最強「アマプラ」は対極な戦略
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 11時0分
Amazonの方針も割とわかりやすいものです。ビジネスサミット「APOS」にはプライム・ビデオの日本のコンテンツを統括する石橋陽輔氏も登壇し、「たとえばアニメであれば、独占タイトルを限定数揃えること以上に、幅広いセレクションを提供できることに力を注いでいます」という発言は明白です。
独占配信として打ち出すジャンルはここのところスポーツに集中しています。『Prime Video Boxing』と称するボクシングの大型注目試合や、野球でも世界一決定戦の「ワールドベースボールクラシック(WBC)」といったライト層からも関心を持たれるタイトルを選んでいる印象です。
また日本作品に積極投資するアメリカ資本のサービスという側面もあります。婚活リアリティショーの「バチェラー」シリーズの日本版制作は成功例の1つです。また10月25日から世界独占配信する竹内涼真主演の『龍が如く ~Beyond the Game~』はセガのヒットゲームシリーズを基にオリジナル脚本で制作したもの。世界的にヒットとしているゲームタイトルに加えて、ヤクザものという切り口が決め手になったのか、本国のアメリカサイドの発案から実現しています。
ローカル作品に人気が集中
「Amazonのプライム・ビデオの戦略の柱の1つがローカルのオリジナルコンテンツを顧客に提供すること。マンガや小説、ゲームなど、魅力的で豊富な日本のローカルIPを活用することにも全力を注いでいます」と石橋氏が語っていた方針はアメリカ資本サービスにとって勝ち筋とも言えます。結果としてAmazonは日本の動画配信サービス市場をリードしているわけです。
日本に限ったことではありませんが、ローカル作品が最も好まれる傾向は高く、なかでも日本はローカル作品に人気が集中しがちです。大きなパイと捉えるAmazonと多様な好みを深掘りするU-NEXTはある意味対極的ですが、まだまだ成長基調にある動画配信サービスの市場を牽引していくことは間違いありません。どちらのサービスを選ぶのかは、それぞれのわかりやすい戦略から自分好みのものを選べばいいはずです。
長谷川 朋子:コラムニスト
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