1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ライトオンがワールド傘下で再建、ジーンズの限界 自力再建は断念、今後も大量閉店が続く見通し

東洋経済オンライン / 2024年10月12日 7時30分

2000年代までは、学生など若い世代を中心にジーンズ専門店の人気は高いものだった。ライトオンは新規ブランドを積極的に開拓し、品ぞろえを広げていった。また、競合他社に先駆けて郊外のショッピングセンターに出店し、核テナントとして広い面積の店舗を展開してきた。

世のトレンドをつかむビジネス展開で、2007年8月期には売上高1066億円、営業利益58億円と最高益を記録。しかし、これをピークに業績は長期で低迷していくことになる。

強かった成功パターンから停滞へ

「成功パターンが強すぎたのかもしれない。自信を持ちすぎてしまった」。こう語っていたのは前社長の川﨑純平氏だ。既存ブランドの取扱高が増える中、新規開拓が減り、商品の改廃がうまく進まなくなっていた。

また、店舗数を増やすことを優先した結果、集客力の弱い商業施設に出店する例もあった。店舗の売り上げ規模は縮小し、効率も下がっていく。

2009年には、ジーユーが発売した990円ジーンズを皮切りに、西友が850円、ドン・キホーテが690円のジーンズを投入するなど激安競争が勃発。ライトオンは激しい市場の変化にうまく対応できず業績が停滞。窮地に追いやられていった。

2017年8月期に上場以来初の営業赤字に転落すると、2018年には当時38歳だった川﨑純平氏を社長に抜擢し、経営の若返りを図った。だが、同氏は2年で退任。2020年に創業者の長男である藤原祐介氏が社長に就任し、NBの品ぞろえを強化するなど対策を打ったものの、規模縮小が続いた。

ワールドによる支援が決まり、ライトオンは新たに中期経営計画を公表した。2029年8月期の売上高は254億円と、2024年8月期と比べて35%減と規模が縮小する一方、営業益は15億円の黒字を目指す。店舗数は明らかにしていないが、大量閉店は必至だ。

また、これまではNBのジーンズを中心とした商品群に注力していたが、今後はプライベートブランド(PB 独自企画商品)に力を入れる。ワールドと連携して競争力のあるPBの開発を進め、構成比を拡大。仕入れ原価率の改善を進める。現状のNB65%、PB35%という商品構成を逆転させる方針だ。

ただし、ジーンズは耐久性が高く、購入頻度が低い商材でもある。売り場の効率を考えると扱いづらい商品ともいえる。ワールドはジーンズ以外の品ぞろえも模索するのか。

こうした問いに、ワールドの大峯伊索常務執行役員(11月にライトオンの社長に就任予定)は「ライトオンが築いてきたデニムの文化はそれなりに顧客に浸透している。デニムをなくすわけではないが、ウェートを見直す必要がある」と語っている。

ライトオンはメンズ色が強いが…

ジーンズは今やいばらの道だ。ユニクロなど、多くのアパレルブランドのラインナップに浸透している。安価で良質、しかも流行に合わせた色や素材、シルエットなど多様な商品が販売されている。

一方、ライトオンが提供するジーンズも良質だが、より高価でベーシックな商品が多い。ストリート、アウトドア、ワークウェア(作業着)といったメンズ色が強いアメリカンカジュアルが中心だ。固定ファンは高年齢化が進み、新規顧客を開拓することも難しい。

ワールドとのタッグで、ジーンズの可能性を広げていくこと。同時に、ジーンズに依存せず、新たな客を呼べる商品群を開発・提案していくことも、今後の重要ポイントといえそうだ。

井上 沙耶:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください