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「自動音声ガイダンス」電話の巧妙すぎる詐欺手口 総務省をかたり「電話料金が支払われていない」

東洋経済オンライン / 2024年10月13日 10時30分

現金ではなく、金塊にして持ち去っています。なぜかといえば、詐欺というのは、警戒心の薄いところを突いてくる傾向があるからです。

現在、銀行などでは多額のお金を引き出す行動に対して、警戒が強まっています。銀行側も詐欺を疑い、お金の使用目的を聞くと思います。しかし「金塊を買う」となると、通常の商取引になりますので、銀行側も詐欺への警戒が緩くなってしまうわけです。

さらに貴金属販売店でも、まさか自分のところに詐欺に巻き込まれた人がやってくるとは思いませんので、簡単に金塊を販売することになります。まさに盲点を突いたような犯行と言えます。

だまし方も、LINEで偽の「逮捕状」を見せるなど、巧妙です。今回は、ビデオ通話を使っていたといいます。詐欺グループとしては、相手の顔を見ながら話せるので、本当に詐欺の話を信じ込んでいるのかをその表情で確認しながら、話を進めることができます。

もしこうした行為の途中で詐欺だと気づき、被害に遭わなかったとしても、安心はできません。一人暮らしの状況や、家にお金を置いているなどの情報が知られていれば、強盗のターゲットになる恐れがあるからです。いかに犯罪の予兆電話に応じないかが、大事になります。

ただし、音声ガイダンスの電話は、「電話が止まる」とかかってくるだけではありません。

昨年、多くかかってきたものに「電気料金が払われていないので、2時間後に電気が止まります」という電力会社をかたる電話もありました。

「荷物が届いています」という音声も

ほかにも、郵便局をかたる自動音声ガイダンスの電話もあります。

「荷物が届いています。オペレーターにつなぐ場合は2番を押してください」

この電話を受けた方は「荷物が届いた」と思い、電話のボタンを押したくなるのではないでしょうか。この場合、荷物の配送名目で、住所や氏名を聞かれることになります。こうした個人情報をもとに、犯罪グループのもとにある闇名簿の情報がアップデートされてしまうと、詐欺だけでなく、強盗被害に遭う可能性も高まってしまうというわけです。

電話は、必ずしも固定電話にだけかかるわけではありません。スマートフォンにかかってくることもありますし、音声ガイダンスではなく、市役所職員などを装った人物が電話をかけてくることもあります。

怪しい電話に質問を重ねてはいけない

詐欺や強盗の被害に遭わないためには、何が必要なのでしょうか。犯罪の予兆電話においては、相手の話を最後まで聞かずに、電話を切ることです。犯罪グループの目的はすべての話を受け身の状態で最後まで聞かせて誘導しようとすることです。

多くの人がやりがちなのが、偽の市役所職員と話した場合、途中で「何かおかしい」と思い、それを確かめようとして、質問を重ねてしまうことです。

そうなると、こちらの個人情報を相手に伝えてしまうことにつながります。長話をすればするほど、こちらの個人情報が漏れて、闇名簿のアップデートをされてしまうわけです。「怪しい」と思えば、すぐに電話を切って、自分で調べた役所などの連絡先に電話をかけることが必要です。

今回、発生している強盗事件も、強盗犯の一人が逃走中に詐欺の「受け子」をしていたとの報道からもわかるように、この犯罪グループは詐欺と強盗の両方を行っていた可能性があります。

それゆえに、犯罪者のもとにある闇名簿をいかにアップデートさせず、詐欺においては、狙われない人となり、強盗に対しては狙われない家になるかが求められています。

多田 文明:詐欺・悪徳商法ジャーナリスト

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