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「消えたコメ」が戻ってきたら「コメが高い!」 9月の消費者物価指数で東京23区では前年比4割高

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 8時0分

農水省は2024年7月からの1年間の1人当たり消費量を54.4キログラムと前提して年間需要量を推定している(記者撮影)

この夏、食品スーパーの棚から消えたおコメ。秋に新米が出回り始めて品薄が一段落したと思いきや、大幅に値上がりしている。9月の東京都区部の消費者物価指数でコメ類は前年同月に比べて41.4%上昇。5キロ2000円だった価格が2800円に上がった計算となる。実に49年ぶりの伸び率だ。

【グラフで見る】現在のコメの価格は?

コメ価格の上昇を受け、外食チェーンはライスのメニューを値上げ。パックご飯各社も相次いで商品の値上げを公表した。

川上のコメ産地でも異変が起きている。「異常な状況だ。これまで取引のなかった業者まで次々にやってくる」と驚くのは新潟県のある生産者。集荷業者がコメを確保しようと高値を示して各地を奔走しているのだ。

日本ではコメの需要が減り続けており、減反とそれに続く政策によって生産量を抑えてきた。価格を維持するためだが、それが一転、「消えたコメ」に「高いコメ」がクローズアップされ、政策の行き詰まりが浮き彫りとなっている。

味噌や米菓、酒造業界が最初に悲鳴

いったいなぜ、このような事態に陥ったのか。

8月8日に気象庁が南海トラフ地震臨時情報を出した。これで備蓄のためにと消費者がコメを買い込んだ。売り場に商品が乏しくなると、さらに買い込もうとするのが消費者心理だ。

農林水産省がまとめている資料「米の流通状況等について」にも、購入の勢いの大きさが如実に表れている。POSデータで把握したスーパーでの販売数量は、8月5日の週から3週にわたって前年比で38.8%増、21.4%増、48.6%増と大きく伸びた。

ただ、備蓄目的の購入はダメ押しだった。実は、業界内では昨年秋からコメ不足が取り沙汰され、コメの値段が上がり始めていた。最初に悲鳴を上げたのは、味噌や米菓、酒造業界だった。

味噌などの原材料となるコメには、収穫された玄米を一定の目のふるいにかけて下に落ちた粒を用いる。家庭で炊かれてご飯となるコメより粒が小さく、「ふるい下米」と呼ばれる。昨年秋の収穫では、天候要因などからこのふるい下米の発生量が少なく、価格が高騰したのだ。

ふるい下米のうち、比較的サイズの大きい粒は低価格帯のご飯用に回る。その供給も細ったことで、ご飯用のコメでも低〜中価格帯で次第に品薄感が強まり、業者間のスポット市場で取引価格が急激に上がった。

コメが生産者から消費者の口に入るまでにはさまざまなルートがあり、価格の決まり方も異なる。需給状況が敏感に価格に反映されるスポット市場で取引されているコメは全体の一部。JA(農業協同組合)を通じて卸売業者へと流通するルートをはじめ、中心にあるのは相対取引だ。

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