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共通テスト「探究問題」解ける人と解けない人の差 思考力を問うような問題が増える傾向にある

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 12時0分

なぜなら、この解答だと「大正時代に平均身長が伸びた理由は?」という問いの答えしか考えていないからです。

問題は、「江戸時代から大正時代にかけて平均身長が伸びた理由」です。ということは、この答えではまだ半分しか答えたことになっていません。つまり「江戸時代に平均身長が低かった理由は?」という問いも、考えないといけないのです。

よく考えてみましょう。「江戸時代の平均身長は男性で155cm程度、女性で143cm程度」というのは、なんだか低くないですか?

実は平均身長が低くなる要因だと思われる事情があったのです。

江戸時代まで、日本では肉食がタブー視されていました。その理由は、仏教の影響だと言われています。仏教には生き物を殺してはいけないという教えがあり、そこから肉食をしない文化が広まったのです。つまり、今よりも動物性タンパク質を取ることが難しかったわけです。江戸時代に身長が伸びなかったのは、そういう理由があるのだと考えられます。

明治時代になってからは、文明開化が起こり、西洋文化が日本に入ってきました。江戸時代末期に鎖国が解かれたことで、明治から大正にかけて、いろんな外国の食材や料理も流入し、洋食風のレストランも相次いで開業しました。

これにより肉食が広まり、だんだんと動物性タンパク質を摂取する機会も増えたことで、平均身長が伸びたのではないかと考えられます。

これを踏まえて、解答例はこのようになります。

解答例:江戸時代には仏教の影響で肉食が禁忌とされていたが、明治時代に入ると肉食が解禁された。明治から大正にかけて、多くの人が肉を食べることになり、身長を伸ばすうえで重要になる動物性タンパク質を取ることができたから。

この問題からわかることは、「変化=変化前の状況から、なんらかの要因で変化後の状態になること」だということです。要するに、変化を語るためには、変化前と変化後の両方を考えなければならないということです。

例えば「歌が上手くなったね」と言われたら、「元々そこまで歌が上手くなかったのに、今では上手になった」というギャップがあることを示していると考えられます。昔から歌が上手だった人に「上手くなったね」とは言わないですよね。

変化後だけではなく、変化前も考える

2025年度からの地歴では、こうした探究型の問題がより重視されることが予想されますが、現在でもこれらの問題は頻出です。

今回は日本史の問題でしたが、世界史や地理といった科目でも、このように変化を問う問題が多く出題されています。

「この数字が伸びたのはなぜですか?」「なぜこのような変化が起こったのか、選択肢の中から選びなさい」といった問題を解くためのカギは、「変化後だけではなく、変化前がどうだったのか」という思考です。

みなさんぜひ、参考にしてみてください。

西岡 壱誠:現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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