三菱電機「空調装置」、ドイツの鉄道なぜ大量採用? 「革新的」技術と業界内での立ち位置が強みに
東洋経済オンライン / 2024年10月14日 7時0分
ドイツに本社を置く総合エレクトロニクス企業シーメンスは、フランスのアルストムとともに欧州鉄道メーカーの2強と称される。ドイツの首都ベルリンで9月24~27日に開催された国際鉄道見本市「イノトランス」では屋外にシーメンス製の車両群がずらりと展示され、巨大な屋内ブースもその規模でほかのメーカーを圧倒していた。
【写真を見る】空調装置は屋根の上に置いても空気抵抗がないように平たい形。国際鉄道見本市「イノトランス」会場内の三菱電機ブース
シーメンスのブースには、屋外の展示車両だけでは飽き足らないのか、ど真ん中に実物大車両のモックアップが展示されていた。ミュンヘンのSバーン(都市近郊鉄道)に今後導入される新型車両である。
シーメンス製新型車に1350台採用
1編成13両で、シーメンスは90編成を製造。ミュンヘンを州都に抱えるバイエルン州の公共企業体とSバーンを運行するドイツ鉄道のグループ会社に納入する。追加製造のオプション付きで契約金額は20億ユーロ(約3259億円)を超える。最初の編成は2028年末から運行開始する。
情報通信やシステムソリューションの分野でも強みを持つシーメンスだけに、この車両にも最先端のデジタル技術が導入された。たとえば、同社が開発した鉄道向けAIプラットフォームを活用して使用エネルギーの効率化、メンテナンス費用の低減、運行管理の最適化などを図っている。
車両ソフトウェアのアップデートもWi-Fiで自動的に行われ、従来のように車両基地で作業員が1両ずつソフトを入れ替えるという手間がない。「スマホのアプリを更新するようなもので、大幅な作業時間の短縮につながる」とモックアップ内に展示されたモニターを前にシーメンスの担当者が胸を張った。
客室には窓やドアの上部にさまざまな情報を表示するモニターを設置するほか、フリーWi-Fi、USB充電ポート、電源コンセントも備える。車内のLED照明は時間帯に合わせて輝度を変える。
「シーメンスさんのブースに行きましたか。中央のモックアップ車両に当社の空調装置が使われるんですよ」――。イノトランス会場内の三菱電機のブースで、担当者が教えてくれた。
三菱電機が開発した新たな空調装置がこの車両に導入される。契約金額は未公表だが1編成あたり15台の空調装置が取り付けられるので、90編成で1350台という大型ビジネスだ。イノトランス開幕の直前、9月19日に発表した。
採用の理由は「革新的技術」
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