新庄監督「6位→2位」若手を伸ばす育成力の本質 大原則「機会は平等に、評価は公正に」を守った
東洋経済オンライン / 2024年10月16日 9時30分
若手がやる気を出さない、自主的に行動しないというのは、多くの企業で見られる悩みだろう。しかし、若手を批判する前に、機会を平等にしたり、評価を公正にしているかを、マネジメント層は自らに問うべきなのかもしれない。
結果も大事だが、それ以上に姿勢を重要視した
その他、横山氏が挙げたのは新庄監督の「指示をしっかりこなせるか」という点で選手を評価したこと。
例えば、8月の試合で相手チームの好投手を攻略するために新庄監督が「バッター1人が9球ずつ粘る」という号令を出し、見事に先制点をもぎ取ったのは記憶に新しい。その他、監督自身が指示を出した結果、打たれたり「ミス」となってしまった場面でも、選手を責めずしっかりと自身の責任だと述べるケースが目立つ。
「いくら能力が高くても、行動が伴われなければ意味がないもの。その意味でマネジメントでは『有能であるより、有用であれ』というメッセージをメンバーに浸透させる必要がある。その点、新庄監督は非常に巧みだったのではないか」(横山氏)
続けて、横山氏は、ビジネスでのこんな事例を話す。
「工場設備を取り扱うメーカーが、新規開拓をする際に営業の『仮説力』アップの教育を徹底して行った。長年、既存の深耕開拓しかしてこなかった営業は新規開拓に慣れていない。既存のお客様なら10社も回れば3社や4社は商談になるのに、新規のお客様だと50社回っても1社も商談がとれないこともある。営業は口々に『こんなことを続けてもムリ』『もっと宣伝広告しないとダメ』と、抵抗を始めた。
そこで営業部長はどれぐらいの接触、提案をすれば、どれぐらいの反応が返ってくるのか、営業ひとりひとりで仮説を立て、その仮説通りに行動をさせるよう指導した。その仮説があまりに現実的でなければ却下するが、そうでなければ採用した。そして仮説通りに続けて結果がでなくてもすべて部長の責任としたのだ。
最初はかなり抵抗していたベテラン社員たちだったが、部長の覚悟を目にして渋々新規開拓を続けた。
すると半年後からようやく結果がではじめ、どれぐらいの行動をすることで、どれぐらいのリターンが返ってくるかの仮説を立てられるようになった。その後、仮説検証サイクルを高速に回せるようになり、新規開拓でも安定して成果を出せるようになったのだ」
マネジメントする側が結果を求めすぎると、どうしても部下は守りに入ってしまうものだ。そして、守りに入ってしまうと、「どうせ頑張ってもダメだし……」という空気も生まれてしまう。
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