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中国・山東省で巨大「石油化学コンビナート」稼働 石油精製能力2000万トン、供給過剰に拍車も

東洋経済オンライン / 2024年10月17日 19時0分

裕龍島プロジェクトは煙台市の沖合を埋め立てた人工島に建設されている(写真は事業主体に出資する南山集団のウェブサイトより)

中国の山東省煙台市の人工島に巨大な石油化学コンビナートを建設する「裕龍島プロジェクト」。その第1期工事のプラントが部分的に完成し、9月25日に生産を開始した。

【写真】裕龍島プロジェクトの石油精製プラント

裕龍島プロジェクトは山東省政府の「一号工程」と呼ばれる最重点事業であり、2020年10月に着工した。それから3年を経て、年間生産能力1000万トンの石油精製プラントが今回稼働。第1期の未完成のプラントも、2024年末までに生産準備が整う予定となっている。

プロジェクトは2期に分かれており、第1期では総額1168億元(約2兆3855億円)を投じて年間生産能力2000万トンの石油精製プラント、同300万トンのエチレン・プラント、同300万トンの混合キシレン・プラント、それらの貯蔵・輸送インフラなどを建設する。

小規模製油所の乱立が背景

第2期のプラントも第1期と同規模を計画しており、完成時の石油精製能力は(両期の合計で)年間4000万トンに達する。

山東省政府が裕龍島プロジェクトを計画した背景には、同省が全体としては中国有数の石油精製能力を持ちながら、個々の製油所の規模が小さく、立地も分散しているという長年の問題があった。

小規模の製油所は(原油相場や景気変動に対する)リスク耐性が低いうえ、生産品目に占める(低付加価値の)石油精製品の比率が高く、(高付加価値の)石油化学製品の比率が低い。そのため多くの製油所が綱渡りの経営を迫られており、9月14日には山東省の2つの小規模製油所が裁判所の破産宣告を受けた。

山東省政府は以前から自省の石油化学産業の構造に危機感を持ち、2018年に「上大圧小、減量置換(大規模コンビナートにリソースを集中して小規模製油所を減らし、生産能力の削減と置き換えを進める)」という方針を打ち出して、裕龍島プロジェクトをスタートさせた。

同プロジェクトの建設と同時並行で、山東省内の年間生産能力300万トン未満の小規模製油所は閉鎖・集約が進められた。省政府系のネットメディア「中国山東網」の報道によれば、裕龍島プロジェクトの第1期のプラントが生産を始めても、山東省全体の石油精製能力は年間696万トン減少するという。

中国の石油需要は頭打ち

とはいえ、最近の原油相場や中国の石油需要のトレンドを考慮すると、裕龍島プロジェクトが計画通りの生産量や採算性を確保できるかは不透明と言わざるを得ない。

中国では(景気減速やEV[電気自動車]の急速な普及を背景に)石油精製品の需要が頭打ちになり、石油精製能力がすでに過剰になっている。

政府系シンクタンクの石油化学工業規画院は9月24日に開催したフォーラムで、石油精製品の供給過剰により石油精製プラントの稼働率が低下し、中国全体で80%を割り込んでいるというデータを示した。

石油化学製品も同様だ。中国のエチレン・プラントの稼働率は86%、プロピレン・プラントは78%にとどまっており、需給の均衡が崩れている。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は9月25日

財新 Biz&Tech

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