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1年で優勝、巨人・阿部監督の「若手を律する」凄み その手腕を、マネジメントの観点から考える

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 18時30分

また、ルールや考え方は単なる思い付きではなく、客観的に納得できるものである必要があるし、人によって対応の差をつけるのはもってのほか。どんなに成績が良くても、ルールを破ったら“締める”と伝える。

時には嫌われ役となってでも、それを徹底して組織を律するのが、マネジャーの仕事だ」

横山氏はこうした組織を律するマネジメントの事例として、ある中堅企業部長のエピソードを挙げる。この部長が率いるチームでは、3回以上の遅刻で評価を下げるとメンバーに伝えていたという。

そんな中、ある課長が営業会議を3回連続で遅刻したことがあったという。課長は「電話対応があったので……」と言い訳をしたものの、社長が出席するような会議には決して遅刻しないことを部長は知っていた。

また、安定して好成績を出しつつ、部下からの信頼もあつい課長であったが、部長は「ルールはルール」と課長の評価を落とした。その後、猛省した課長は遅刻を全くしなくなり、かつ期限ぎりぎりに資料を提出することが多かったのが一変。余裕をもって提出するようになるなど、さまざまな効果があったという。

部下を厳しく指導することが難しくなった今日この頃だが、もちろん適切な状況であれば、ハラスメントには該当しない。ひとりの弛みが他のメンバーに影響することもある。そう考えると、阿部監督の指導には、一定の効果があったのは間違いないし、むしろこの令和の時代にあって、勇気を出して指導できていると評価できそうだ。

若手のフォローやファンへの“直訴”も

そんな厳しさの一方で、優しさも見せたのが阿部采配だった。特に目立ったのが、高卒2年目の今シーズンにブレイクした浅野翔吾へのフォローだ。

浅野は優勝争いも佳境を迎え始めた8月、4月以来の一軍昇格を果たすと、骨折で離脱したエリエ・ヘルナンデスの穴を埋めるかのような活躍を見せた。浅野に対して阿部監督は「将来、チームが困ったときに打つバッターになってほしい」として、辛抱強く起用を続けた。

浅野が満塁のチャンスをつぶしてしまった試合後には、ベンチでフォロー。浅野のエラーから同点に追いつかれ、負けてしまった試合後には「積極的なミスだったら仕方ない」とかばい、チームメンバーが参加するLINEグループでも激励したという。

その他、チームの主砲である岡本和真への応援について、持ち味を生かすために「レフトへぶち込め」というコールから「ライトへぶち込め」へと変えるようファンへ“直訴”するユニークな一幕もあるなど、厳しさだけではない引き出しもあったのが、阿部采配の特徴だろう。

後編の記事ー巨人・阿部監督はなぜ「管理職のお手本」なのか 令和だからこそ輝く、厳しく優しいマネジャーーでは、阿部監督の「厳しさと優しさ」以外に特徴的だった采配を振り返っていく。

鬼頭 勇大:フリーライター・編集者

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