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京セラが"タフネス特化"のスマホで目指すこと 10周年のTORQUEがニッチ市場で生き残る戦略とは

東洋経済オンライン / 2024年10月19日 11時0分

公式の試験項目には含まれないが、よりハードな試験も行っているという。非公式ながら「車で轢く試験」まで実施し、その耐久性を確かめている。また、北海道の北見工場では、厳冬期に雪の中に端末を突っ込む試験も行われている。マイナス21度からプラス60度という過酷な動作環境に耐える性能を保証するためだ。

しかし、現状はスマートフォン全体の耐久性向上が進んでいて、単純な「強さ」だけでは差別化が難しくなってきている。

「我々の考えるラグは高耐久でしたが、それを使っていくユーザー様にとっては、やはりこのラグ、高耐久だけでは物足りない」と京セラ通信機器事業本部の伊東恭弘氏は語る。この認識から生まれたのが、新たな「タフネス」というコンセプトだ。

信頼できる頼もしいパートナーへ

タフネスは、従来の高耐久性に加え、持続性、秘匿性、特殊性といった多面的な強靭さを包含する。具体的には、長時間のバッテリー持ち、高度なセキュリティ機能、特殊環境下での使用能力などが含まれる。

「単純にタフといっても、精神的なタフさもあれば、肉体的なタフさもあります」と伊東氏は説明する。この新しいコンセプトは、TORQUEを単なる「壊れにくいスマートフォン」から、あらゆる面で「信頼できる頼もしいパートナー」へと進化させる狙いがある。

ソフトウェアや設計面でも独自性を追求しており、G04からは専用の「TORQUEフォント」を採用し、ブランドの世界観を強化している。アクセサリー開発にも注力し、アウトドアでの使用を想定した浮き具付きケースなど、タフネススマホならではの周辺機器を展開。外箱のパッケージデザインにもこだわり、所有する満足感を高めている。

こうした取り組みにより、G06ではドイツのiFデザインアワードに挑戦し受賞を果たすなど、デザイン面でも国際的な評価を得ている。

熱心なユーザーに支えられている

京セラはユーザーとの関係強化にも注力している。「TORQUE Style」と呼ばれるファンコミュニティサイトを立ち上げ、ユーザー同士の交流や情報共有の場を提供。会員数は2万名を超えている。

10月12日にはTORQUE 10周年記念ユーザーイベントが開催された。東北や北陸、関西からの参加も含め、約20名が京セラのみなとみらいリサーチセンターに集まった。長年TORQUEを愛用するユーザーたちが、それぞれの体験を語った。

ある女性参加者は、G01モデルから4世代にわたって使い続けているという。彼女によると、原付バイクから落としても壊れなかった経験から、製品の耐久性に強い信頼を寄せているそうだ。

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