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"数学嫌いの子"も納得する「数学勉強する意義」 学生時代に学んだことはどんな意義があるのか

東洋経済オンライン / 2024年10月20日 17時0分

それなのに、A塾のグラフを見ると、過半数を超えていませんよね。半分より少ないように見えることがわかります。つまりこのことから、わざとA塾の結果を悪く見せていることがわかるのです。

そう考えてみると、A塾のグラフの合計もなんだかおかしいことになっています。「22%」「29%」「30%」「25%」なので、全部足したら106%になってしまいます。よく観察しないとわかりませんが、気づいてしまえば強烈な違和感を感じると思います。

そしてもう1つ、「ここはおかしい」と言えるポイントがあります。それは、2つの塾で抽出するデータの元が違うということです。

まず、この塾のデータは中学1〜3年生までの671人のデータを引用しています。それに対してA塾のデータは、中学2年生のみ、69人のデータを引用しています。この時点で、比較するポイントが若干違うことがわかると思います。中学1〜3年生のデータと、中学2年生だけを比較しているわけです。

もしかしたらA塾の中学2年生は、ほかと比べて結果が出ていない学年なのかもしれません。中学1年生と3年生は結果が出ているけれど、2年生だけは結果が出ていなかったのかもしれないわけです。

さらにおかしなポイントが、「n」という数字です。これは、中高の数学で習う概念です。「n」という数字はサンプルの数を指し、「n=x」という数式で、調査するサンプルの数がx人(件、個)であることを示します。仮に「n=100」であれば、それは「100人にアンケートをした」という意味になります。

このn数が、この塾のデータとA塾のデータでは、桁が違います。671人のデータと69人のデータを比較しています。n数が多いデータは、それだけ信頼性が上がります。しかし、n数が少ないデータというのは、信頼性が低くなってしまいます。

例えば3人のテストの平均点が60点だったら「60点くらいの難しさだったんだな」と感じるかもしれませんが、もしかしたら3人の点数は「180点・0点・0点」かもしれません。1人の人が平均点を上げてしまうことが発生するため、少人数のデータは信頼性に欠けることがあるということです。

今回の場合でもそれは同じです。A塾のデータは少ないですが、仮に成績が上がらなかった子どもを60人程度を集めれば、それだけでA塾のマイナスなデータを取ることができるかもしれません。

このように、このグラフは怪しいポイントがいくつも存在しているのです。

数字やデータの見せ方で騙されることも

パッとグラフを見ただけで判断すると、この塾がすごくいい塾のように見えてしまいますが、こうやって深く見ていくと、この塾のパンフレットはあまり信頼できないのではないか、と考えることができるのです。この話を聞いて、印象が180度変わったという人も多いのではないでしょうか?

『数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う』という言葉があります。この言葉どおり、数字やデータをうまく操ることで、相手の印象を変え、人を騙す材料を用意することができるわけです。

「数学を勉強しないと、騙されてしまうかもしれない」というのは、勉強をする1つの意義になることでしょう。ぜひみなさんも意識してもらえればと思います。

西岡 壱誠:現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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