LGディスプレイ、中国の液晶パネル工場を売却へ TCL華星に2228億円で、今後は有機ELに集中
東洋経済オンライン / 2024年10月21日 12時0分
韓国のディスプレーパネル大手のLGディスプレイは、中国の広東省広州市に持つ液晶パネルの生産ラインを中国の同業大手、TCL華星光電技術(CSOT)に総額108億元(約2228億円)で売却する。9月26日、LGディスプレイとTCL華星の親会社であるTCL科技集団が投資家向けの情報開示で明らかにした。
開示資料によれば、TCL華星はLGディスプレイおよびパートナー企業が出資する現地法人、楽金顕示中国の発行済み株式の80%と、同じく楽金顕示広州の全株式を買い取る。取引の完了後、これら2社はTCL科技の連結子会社になる。
第8.5世代の液晶パネル生産
楽金顕示中国は、広州市黄埔区の工場で第8.5世代の液晶パネルを製造している。主な用途は大画面テレビや商業用の大型ディスプレーで、月間生産能力は18万枚だ。もう1社の楽金顕示広州は、関連のモジュール工場を運営している。
TCL華星による買収は、中国政府の所管部門による審査および認可を経る必要がある。LGディスプレイの情報開示によれば、買収手続きの完了は2025年3月末を予定し、最終的な取引金額はそれまでの(譲渡する2社の)損益などの要素を加味して調整するという。
LGディスプレイが中国の液晶パネル生産ラインを売却する背景には、ディスプレーパネル業界を取り巻く厳しい事業環境がある。
パネル業界は2022年から景気サイクルの下降局面に入り、メーカーの業績が軒並み悪化した。そんな中、LGディスプレイは事業の重点を(液晶パネルよりも付加価値が高い)有機EL(OLED)に移す決断を下した。
同社は1年前から、広州市の生産ラインを含む液晶パネル関連資産の価値算定および売却の交渉を進めてきた。LGディスプレイの説明によれば、その狙いは経営資源を有機ELに集中する「事業構造のアップグレード」にあるという。
強まる中国メーカーの支配力
TCL華星による今回の買収により、液晶パネルのグローバル市場では中国メーカーの支配力がいっそう強まりそうだ。
市場調査会社の群智諮詢の推定によれば、LGディスプレイの広州市の第8.5世代液晶パネル生産ラインは、全世界の約6%に相当する生産能力を有していた。それをTCL華星が取得することで、液晶パネルのグローバル市場における同社のシェアは25%を超える見込みだ。
その結果、中国の液晶パネル最大手の京東方科技集団(BOE)と第2位のTCL華星の世界シェアは、2025年には合計52.6%に上昇。すべての中国メーカーを合わせた世界シェアは72.7%に達すると、群智諮詢は予想している。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月27日
財新 Biz&Tech
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