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中国自動車市場で「ADAS」普及が次の台風の目に 広汽アイオン、330万円の新型EVにLiDAR搭載

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 11時0分

広汽埃安の新型EV「AION RT」は、3次元センサーのLiDARを搭載しながら300万円台前半の価格を実現した(写真は同社ウェブサイトより)

中国の自動車市場で先進運転支援システム(ADAS)を搭載する新型車が、従来よりも低価格のカテゴリーに広がりつつある。

【写真】小鵬汽車の新型EV「MONA M03」はカメラ式のADASを搭載した。

国有自動車大手、広州汽車集団の傘下のEV(電気自動車)メーカーである広汽埃安(広汽アイオン)は9月26日、新型セダン「AION RT」の販売予約の受け付けを開始。市街地の一般道にも対応可能なADASを搭載するグレードの予約価格を15万9800元(約330万円)に設定した。

「市場のボリュームゾーンである10万元(約206万円)から18万元(約371万円)までの価格帯で、ADASを搭載したクルマは1%にも満たない。自動車ユーザーは技術進歩の恩恵にもっと浴するべきであり、広汽アイオンはADASの本格普及に貢献したい」

広汽アイオンの肖勇・副総経理(副社長に相当)は、AION RTの販売予約の発表会でそう意気込みを述べた。

小鵬汽車はカメラ式採用

1か月前の8月27日には、新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)が「20万元(約413万円)以下で唯一のADAS搭載車」をうたい文句に新型セダン「MONA M03」を発表。ベースグレードの希望価格は11万9800元(約247万円)からと、AION RTよりも安い。

ただし、小鵬汽車はADASのコストを抑えるため、MONA M03にレーザー光を用いた3次元センサーのLiDAR(ライダー)を搭載せず、主にカメラの画像情報に頼る方式を選択した。

それに対し、AION RTはこれまで20万元を超えるクラスに搭載されていたものと同等の、LiDARを含むADASを採用した。広汽アイオンの肖副総経理によれば、現在利用できる技術でスムーズかつ安全なADASを実現するには、LiDARが欠かせないという。

「AION RTにはLiDARとともに、エヌビディアの自動運転向け半導体『Orin(オーリン)』を採用した。この組み合わせは高級車用のADASにまったく引けを取らないものだ」

広汽アイオンの古恵南・総経理(社長に相当)は、メディアの取材に応じた際にそう述べ、さらに次のように強調した。

「このシステムを多くの車種に採用することで、スケールメリットによるコストダウンを追求している。わが社は赤字でクルマを売ることはない」

EVシフトは「後半戦」へ

中国の自動車業界では、クルマの(走行機能の)電動化はEVやPHV(プラグインハイブリッド車)の普及過程における「前半戦」に過ぎないという見方が主流になっている。「後半戦」の競争を勝ち抜くカギは、ADASを含むクルマのスマート化にほかならない。

「ADASは現時点では高価格帯のクルマに搭載されているが、今後は急速に普及が進み、(低価格帯のクルマを含めて)すぐに標準装備になるだろう」

広汽アイオンの親会社である広州汽車集団の馮興亜・総経理は、9月26日に広州市で開催された国際経営フォーラムでそう予想した。

また、広汽アイオンの古総経理はADASをスマートフォンになぞらえ、当初は贅沢品だったスマホが今や誰もが使う必需品になったと指摘。「ADASはまさに本格普及の入り口に立ったところだ」という考えを示した。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月27日

財新 Biz&Tech

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