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木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い 「being(ありのまま)の価値」も評価したい

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 10時0分

そうなると、うちの自己申告型給与制度では給与が増えにくいわけですが、その人自身に変化はなくても、周りにいる人がいい方に変わっているのであれば、スキルや実績と同じくらい、いやそれ以上に「beingの価値」も評価していきたいんです。

「beingの価値」の位置づけとは

製造にいるO君は、あまり積極的に新しい取り組みの提案をするタイプではなく、やらないといけないことをコツコツ真面目にちゃんとやる。そんなタイプです。

彼は希望給与申告額も控えめです。なんなら本人に任せていると「ステイ」で申告してきたりします。

しかし、製造現場において、彼はすごく大きな存在です。彼はとにかく温和で、場の空気を悪くしない。彼がいるだけで、場が明るくなる。機械にも詳しいので、故障してうまく作動しなくなったときでも、彼がいると、皆は「なんとかなる」と安心できるそうです。

新人や若手にとっても、彼の存在は大きな支えになっています。何か困ったときも相談しやすく、対応もていねいで優しい。年齢や社歴や立場などで態度を変えたりせず、皆に同じ対応ができる。パートの年配の方からも人気が高く、周りから絶大な信頼を得ています。

彼自身が何か新しい取り組みをしていなかったとしても、彼の存在が、その場の人たちの安心感につながっているのであれば、新人が入ったり、人が増えたりしたときに、必然的に彼の価値は高まっていると言えるのではないでしょうか。

自己申告型給与制度に限らずですが、こういう人の存在や価値は、企業がきちんと取り上げて評価することは難しいわけです。

でも、「beingの価値」をないがしろにしていると、それは少しずつ歪みとなり、周りの人たちのパフォーマンス(「doingの価値」)を下げてしまうことになるんじゃないかと思うのです。

「beingの価値」を組織の中でどう位置づけ、理解していくか。これが今後の組織づくりのカギとなりそうです。

個々人の可能性や価値を高める「覚悟の交換」

人を評価するとき、他人と比較しない。比較するとしたら、その当人の「過去」と。そう決めています。

それでもふとした折に、無意識にやってしまうことはあります。 「〇〇さんに比べたら、ちょっと仕事が遅いんじゃないかな」などと言ってしまったり。

意識していても、ついついやってしまうくらい他人との比較は、ある意味、簡単です。他人と比較すると必ず優劣が生まれます。

Aさんに比べたら、Bさんはここがダメ、ここができていない。BさんはCさんよりここが優れているなど、他人と比較すると必ず、誰かの強みは、誰かの弱みになります。

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