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三菱重工、知られざる「鉄道メーカー」の世界戦略 「架線レス」武器に新交通システムで営業攻勢

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 6時30分

三菱重工が日本国内で手掛けたAGTの代表例としては東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」、埼玉新都市交通伊奈線「ニューシャトル」などが挙げられる。海外では、香港、シンガポール、仁川、ドバイなど世界の主要国の空港において、ターミナル間の旅客輸送に用いられている。アメリカでもアトランタ、ワシントンDC、マイアミなど主要都市の空港で続々と採用されている。

「架線レス」の新システム

AGTは小型軽量車両を用いるため建設費を抑えることができ、ゴムタイヤを使用するため鉄輪と比べ急勾配でも走行できる。鉄道の勾配は最大でも2度くらいだが、AGTは10度の勾配でも走行可能である。しかも、ゴムタイヤは鉄輪よりも騒音レベルが小さいので住宅街でも走行できるという点も長所に加えられる。その反面、ゴムタイヤの摩耗が鉄輪よりも早いため、交換による維持費がかさむといったデメリットもある。

なお、AGTはバス以上鉄道未満の中規模輸送に適しているとされるが、マカオのLRTに導入された同社のAGTは東京メトロ丸ノ内線02系と同レベルの輸送力を持つ。逆に空港ターミナル間の旅客輸送に使われるAGTは都市を走るAGTと比べ定員が少ないが、コンパクトなニュータウンでの運行にも適している。

そして、「今回のイノトランスで初めて大々的に紹介します」と教えてくれたのが、「Prismo(プリズモ)」というシステムである。目玉技術は給電レールが不要となる「架線レス」の実現だ。

車両は新開発の蓄電デバイスが供給する電力で走行する。駅に停車すると、客の乗降時間内という短時間内に駅で急速充電し、次の駅に向かうための電力を確保する。給電レールが不要になったことも建設コストやメンテナンスコストの削減につながる。駅間が長ければ長くなるほどより多くの電力が必要となり、短時間で十分な電力をチャージできないかもしれないが、都市部や空港のターミナル間であれば駅間も短く問題なさそうだ。

そして、「架線レスによって建設コストを抑えることができるとともに、メンテナンスコストも減ります」と担当者が説明する。これが架線レスの最大のメリットである。

また、同社のAGTは国内、海外ともに軌道の両側の壁に取り付けられたガイドレールに車両の案内輪を押し当て、これに沿って進む「側面案内方式」が多い。この場合はガイドレールが2本ということになるが、今回、中央下部に1本だけガイドレールを設ける「中央案内方式」も新たにラインナップに加えた。

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