ベースフード、赤字拡大と下方修正でも株高の背景 通期予想は黒字を死守、意外な人物が大株主に
東洋経済オンライン / 2024年10月22日 9時30分
「総菜パンやカップ麺、パンケーキなどの導入、自主回収からの回復について小売店の売り上げを見誤った。非常に反省しており、今後はないようにしていきたい」――。ベースフードの橋本舜社長は10月15日、2025年2月期中間決算説明会で冷静に振り返った。
【写真】ベースブレッドはさまざまな種類を展開、最近はソース焼きそばがSNSでも話題だ
1食(BASE BREADの場合2袋)で1日に必要な栄養素の3分の1がとれる「完全栄養食」としてパンやパスタなどを展開し、自社ECサイトや小売店で販売するベースフード。同社は中間決算の発表と同時に通期業績予想を下方修正した。
中間決算は売上高が前年同期比6%減の75億円、営業損益は4.7億円の赤字(同1.2億円の赤字)、当期純損益は5億円の赤字(同1.3億円の赤字)だった。厳しい進捗を受け、期初計画の売上高190億円を157億円(前期比5%増)、営業利益1.6億円を5100万円(前期は9億円の赤字)へ、いずれも下方修正した。
新商品の不調が下方修正の原因に
修正の主な要因は、コンビニ向けの新商品として今年5月に発売した総菜パン「BASE BREAD(ベースブレッド) ソーセージ」「同 ツナ」の不調だ。
ベースフードの旗艦商品は、賞味期限が1カ月程度と長いベースブレッド。小売店では、賞味期限の短い通常のパンと分けて並べられているケースが多い。これまで順調に配荷店舗数や売り上げを伸ばしてきた。
同社は今回初めて日配品に参入し、通期で販売する予定だった。だが、パンの棚は種類が豊富で入れ替わりが激しく、低価格品も多く存在する。ベースフードは栄養素を武器に高価格帯で勝負したが、値段相応のメリットが消費者には伝わらず、結局は終売に至った。
また、今上期には即席焼きそばやパンケーキミックスなどの新商品も発売したが、これらの小売店への導入も想定を下回った。
カビ騒動の影響もあった。同社は昨年10月、一部製品でカビが発生したため、ベースブレッド計76万4581袋を自主回収した。問題は小売店だ。スーパーやコンビニが導入するにあたり、どうしても「商品にカビが発生した会社」という印象がつきまとう。
より安全なパッケージへ変更し、パン生地も菌の付着や包装の破損が生じた場合でも、菌の増殖を抑制できるよう改善。信頼の回復に努めたが、小売店への導入は想定を下回った。
前下期はカビ騒動以降、商品の安全性の確保を優先し、商品のリニューアルや新商品の発売を控えた。その影響で主力の自社ECの定期購入者数は一時的に減少したものの、足元では回復している。
キャッシュは8月末時点で18.1億円へ増加
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