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当選者は「顔だけでわかる」という衝撃の実験結果 私たちが間違った人に権力を与えてしまう理由

東洋経済オンライン / 2024年10月24日 10時0分

私たちは顔だけで指導者を選んでいるのかもしれません(画像:fizkes/PIXTA)

横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。

では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。

今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

子どもたちが顔写真だけで船長を選ぶと?

私たち人間は、間違った理由から間違った人に権力を与えてしまうのかもしれない。

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2008年にスイスの研究者たちが、実験を行ってこの仮説を検証した。

彼らは、5〜13歳の地元の子どもを681人集めた。そして、コンピューターのシミュレーションをするように求めた。

そのシミュレーションでは、これから航海に旅立つ船について、決定を下さなければならなかった。子どもたちはそれぞれ、画面に表示された2つの顔に基づいて、自分のデジタルの船の船長を選ぶ必要があった。他には何の情報も与えられなかった。

こうして、子どもたちがやむをえず選ばなければならない設定になっていた。どんな顔の人が、良い船長に見えるか? 想像上の船にとって、誰が有能な指導者になりそうに見えるだろうか?

子どもたちは知らなかったが、船長候補の2人は、ただランダムに選んだわけではなかった。じつは、フランスの国民議会選挙で争ったばかりの政治家たちだった。

顔の組み合わせは、ランダムに子どもたちに割り当てたが、どれも1人は当選者、もう1人は次点の候補となっていた。

研究の結果は、驚くべきものだった。全体の71%で子どもたちは選挙に当選した候補者を船長に選んだのだ。同じ実験を大人を相手にやってみると、ほぼそっくりの結果が出たので、研究者たちは再び仰天する羽目になった。

この結果は、2つの点で注目に値する。第1に、子どもたちでさえ、顔だけを手掛かりに、選挙の当選者を正確に見分けられること。そこからは、私たちの評価がどれほど表面的かが歴然とする。

そして第2に、権力を握らせる人を選ぶにあたっては、子どもも大人も、認知処理の仕方が根本的に違うわけではないこと。これは、人を「額面どおりに」受け止めるという言葉に、新たな意味を与えてくれた〔訳注 原文で「額面どおりに」に当たる語句は「at face value」で、「face」には「顔」という意味もある〕。

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