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「心理的安全性」の低い職場に巣くう4つの不安 生産性に直結、「弱音を吐ける」環境の重要性

東洋経済オンライン / 2024年10月24日 16時0分

生産性を上げるうえで大切なのは心理的安全性です(写真:takeuchi masato/PIXTA)

学校では「がんばらない」を教えてくれませんでした。

弱音を吐かずにがんばる人は、「我満強い」「頑張り屋さん」「忍耐力がある」と称賛されるのが一般的。そのため、すでに自分は限界を迎えていても、無意識化で押さえこんでしまい、その結果、ある日突然、メンタルを病んでしまうこともあります。

精神科医であり、ベストセラー作家でもある和田秀樹氏は、「つらいなら今すぐ逃げなさい」とメッセージを送ります。なぜなら、逃げることこそが無駄な勝負を避けるポジティブな戦略だからです。

和田氏の著書『逃げる勇気』をもとに、3回にわたって解説いたします。

弱音を吐けない4つの不安

弱音を吐ける環境を、心理学では「サイコロジカル・セーフティ」といいます。

日本語では「心理的安全性」と訳されます。

組織行動学の研究者であるエイミー・エドモンドソン教授が1999年に論文で提唱しました。

主に職場で、だれに何を言っても、人間関係が壊れることなく、罰を受ける心配もない状況を指す言葉として用いられています。

「いま話しかけても大丈夫かな」

「こんなことを聞いても平気かな」

このような不安は、だれでも持っています。

生産性を上げるうえでも、働きやすい環境をビルドアップするためにも、大切なのはこの心理的安全性です。職場に限らず、家庭においてもとても大切なことです。

心理的安全性が低いと、どうして不安が引き起こされるのでしょうか。

エドモンドソン教授は、不安が引き起こされる理由を4つ述べています。

4つの理由

1 無知だと思われる不安

わからないことをだれかに質問したり、相談したりできない。会社の期待に応えられないと、自分の居場所がなくなってしまうという不安がつきまといます。

2 無能だと思われる不安

「理解力が低いんじゃない?」「頭、悪いんじゃないの?」。そう思われるのは怖いものです。勉強ができる人ほど「わかりません」とは言えません。

また、ミスをすると、責められたり罰を受けたりするかもしれないという不安が強い環境では、上司に報告せずに隠すようになります。

そうすると問題は隠蔽され、大きなトラブルに発展するまでだれも気づくことができません。

これは政治の世界や大企業の隠蔽など、よくあるニュースとして報道されています。優秀な人ほど、この不安に取り憑かれてしまうのです。

3 邪魔をしていると思われる不安

会話というのは、そもそもいろんなところに脱線したり、わからないことを質問し合ったりして、それについて互いに不明瞭なことを明らかにしながら前に進んでいくものです。

ところが質問をすると、「そんなこともわからないのか!」と怒りだす人がなかにはいます。そうすると質問できなくなり、理解できないまま前に進むことになります。

4 ネガティブだと思われる不安

相手に改善点や問題点を指摘すると、自分がいかに正しいかを強い口調で主張したり、批判されたと感じて怒りだす人がいます。そうすると何も言えなくなります。

改善点や問題点は放置され、それによって問題はますます大きくふくらんでいきます。「1件の重大事故の裏には300件のヒヤリハットがある」とは、そういうメカニズムで最後は重大事故になってしまうのです。

和田 秀樹:精神科医

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