「四足歩行の若者が続出」ロシアで大問題なワケ 歌手や政治家、ロシア正教も問題視している
東洋経済オンライン / 2024年10月24日 9時40分
ロシアのメディアでは、クアドロビクスは日本の四足走行ギネス世界記録保持者、いとうけんいち氏(100m15秒71)の活動が発祥であると言われている。
その後、英米圏でエアロビクスと美容体操のコンビネーション、一種のスポーツとしてクアドロビクスとして扱われるようにもなった。「British VOGUE」(2024年7月)でも、「クアドロビクスは全身の筋力を改善するフィットネストレンド」と題して取り上げられている。
ところが、ロシアで問題視されているクアドロビクスには、スポーツやフィットネスとは少し異なる側面も見られる。一部のクアドロバーは完全にネコや犬などの動物になりきり、これらの動物のように口だけで食事をしたり、四足歩行で街中を散歩したりしているようなのだ。
これは、いとう氏のように四足走行でスピードを競うとか、全身の筋肉を強化するフィットネスだとかいう話とは異なる次元のものである。そのため、むしろ、「テリアン」と呼ばれる人々に近い動きだと考えられている。
テリアンとは、自分のアイデンティティを何らかの動物として受け止めている人のことで、動物になりきっているクアドロバーの様子がテリアンと親近性があると受け取られているのだ。
ロシア正教が大問題と見ている理由
特にこれを問題視しているのが、ロシアの一般的な信仰であるロシア正教会である。正教会はキリスト教の一派であり、キリスト教は動物と人間との間に画然と境界線を引き、人間を万物の霊長(最も優れている者)と規定している。
そのため、正教会の聖職者や厳格な信徒からすれば、動物を自身のアイデンティティとしたり、動物になりきって行動するといった行為は、聖書の教えに反する堕落した行為ということになるのである。
ロシア正教の司祭であるルキヤノフは、クアドロビクスについてこう述べ、強く批判している。
「クアドロビクスは子どもの遊びでもスポーツでもない。これは代替のアイデンティティを探すというサブカルチャーであり、子どもたちがLGBTを含む反価値(価値観に反すること)を心理的に受け入れる準備をするようしむける危険な社会的テクノロジーである」
ルキヤノフ司祭によれば、クアドロビクスはLGBTを受け入れるようになるための準備段階のような位置づけにあるという。代替的なアイデンティティを探す行為によって、子どもたちの人格形成を阻害し、最終的には人工的に形成されたアイデンティティやジェンダーを受け入れるようになるというのである。
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