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所沢に誕生「エミテラス」に"普通"の声が続出の訳 店は魅力的だが、施設自体の価値は不透明かも?

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 20時0分

あるいは、より視野を広げれば、所沢に近い国道沿いに似たようなショッピングモールが乱立すれば、必然的にその価値は下がってしまう。

たとえば、16号線沿線は若年層の流入が多いエリアで、さまざまなショッピングモールが並んでいる。「エミテラス所沢」は主に駅を交通手段として用いる人向けに作られている施設だが、所沢周辺にも多くいる自家乗用車を持っている世帯であれば、そちらの郊外のショッピングモールに流れてしまうかもしれない。

こうなると、「エミテラス所沢だからこそ」の魅力を作っていく必要があるのだが、まだまだその「場所」としての魅力には乏しいのではないか、と感じてしまう。

エミテラスの「テラス」は、共同で同施設の開発に携わる住友商事が押し出す「テラスの思想」に影響を受けている。テラスのように開かれた空間を作ることが目指されているのだ。

そう考えると、エミテラスでは、こうした「テラス」要素をもっと押し出してもいいのではないか? というよりも、むしろそこを押し出さなければ、さまざまな商業施設のある所沢で「価値」を訴求できないのではないかと感じる。

少し残念な空間の使い方

実際、エミテラスもテナント以外の空間としての魅力をたくさん用意してはいる。

4階の「そらくもダイニング」などは、レストランに囲まれた区画にベンチやテーブルがたくさん置いてあり、子どものための遊び場もあっていい雰囲気。その他にも座れる場所はそこそこ用意されている。

しかし、それらのポテンシャルが最大限活かされていないように感じるのだ。

例えば、施設の中央にある「センターコート」はその一例だ。国内の商業施設では最大規模だという大型ビジョンが全面に掲げられ、その前の空間ではイベントなどが開けるようになっている。実際、オープニングイベントでもこのビジョンを用いて「デジダル打上げ花火セレモニー」が開かれた。

しかし、この空間、イベントが行われていないときは、「無の空間」である。特にそこで何があるというわけでもなく、ただただ人がいない空間になっている。

椅子やテーブルも少し置かれているのだが、圧倒的に「何もなさ」が、上回ってしまっており、非常にもったいなく感じる。大型ディスプレイを用いていろいろと遊ぶこともできるようなのだが、遊んでいる人は少なかった。

私は、こうした「何もない」空間を否定するわけではない。むしろ、テナントで敷き詰めがちな商業施設の中で、こうした「余白」をつくることは重要だと思う。とかく「意味」を求められがちな現代の都市において、「何もしなくてもいい自由」が担保される空間だからだ。

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