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トランプの「マックでバイト」笑えぬ日本人の悲哀 政治家の庶民派アピールに見る日米のセンスの差

東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時30分

政治家にとって庶民派アピールは、いわば伝統芸のようなものである。が、日米を比較すると、日本の政治家のセンスは乏しいと言わざるを得ないようだ(写真:©Robin Rayne/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

アメリカ共和党大統領候補のドナルド・トランプ前大統領がマクドナルドの店舗を訪れ、キッチンでフライドポテトを揚げるなどして、アルバイト体験を報道陣に披露したことが話題になるなか、日本では選挙活動中の政治家のコンビニ弁当や牛丼などの食事写真のSNS投稿が「わざとらしい」などと批判を浴びている。

【画像4枚】ランチ風景を投稿して批判殺到した、平沢勝栄氏のポスト

自由民主党の議員で元復興大臣の平沢勝栄氏の「時短のためにコンビニでお弁当を買って車内で食べました」という写真付きのXのポストがとりわけ矢面に立たされたが、立憲民主党の枝野幸男氏の「昨朝はY家で牛丼を頂きました」という同様のポストなども、「くだらない庶民派アピール」だとして辛辣な意見が目立った。

トランプ氏のマック体験も店舗の口コミ情報サイトなどに怒りのコメントなどが殺到したが、SNSではAIで勝手に加工された動画(調理が大失敗したり、突然裸になったりする)がバズるなど、笑いのネタにされる側面がある一方で、日本における政治家の弁当、牛丼写真に対するリアクションは寒々しいというか非常に風当たりの強いものになっている。

自爆型PRになりやすい“食事による庶民派アピール”

政治家にとって庶民派アピールは、いわば伝統芸のようなものである。だが、SNSを中心に政治家の情報が筒抜けになっている現代においては、むしろ逆効果になっている。かつてであれば私生活そのものはベールに包まれ、知りようがなかったからだ。

【画像4枚】「コンビニ弁当は高すぎる」「庶民アピールはどうなのか」…。ランチ風景を投稿して批判殺到した、平沢勝栄氏のポストを見る

そのような視点で見ると、食事による庶民派アピールは恐ろしく昭和的な、前時代の遺物といえるだろう。

また、格差社会化の進展によって、食事は、以前よりもセンシティブなものになっている。日本の相対的貧困率が先進国中で最悪の水準にあり、直近のデータによれば6人に1人が貧困状態にある(「2022(令和4)年国民生活基礎調査」)。生活意識で「苦しい」との回答は6割に上り、過去5年で最も高い水準である(「2023(令和5)年国民生活基礎調査」)。

国民がこのような厳しい状況にある中で、人々の境遇によってどう受け止められるか不確かで、かつ意図が露骨な食事は分が悪いとしか言いようがない。

加えて、そもそも政治家の食事などがいちいち炎上すること自体が、日本の「貧すれば鈍する」的な状況を表しているともいえる。いずれにしても、自爆型PRになりやすい代物なのだ。

トランプ氏のほうがまだマシ?

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