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まるでホラー「教育虐待」描いたマンガの深い意図 第三者が認識しにくい「密室での暴力」の深刻

東洋経済オンライン / 2024年10月27日 8時0分

「教育虐待」についての新書が原作として漫画化されたルポ作家の石井光太氏(写真:石井氏提供)

新潮社のウェブマンガサイト「コミックバンチKai」で連載され話題を呼んでいる漫画『教育虐待』。ホラーをも思わせるワダユウキ氏の作画に一見、現実離れした印象を受けるこの作品だが、実はすべてフィクションというわけではない。なぜなら、ルポ作家・石井光太氏の同名書籍『教育虐待:子供を壊す「教育熱心」な親たち』(ハヤカワ新書)を原作にマンガ化されたものだからだ。

マンガ化することで、より多くの層に読んでもらい「教育虐待の概念を広めたかった」という石井氏は、教育虐待の現状をどう見ているのか。

教育虐待は、被虐待児としてはカウントされない?

――教育虐待をテーマに書かれようと思ったきっかけを教えてください。

【マンガを読む】『教育虐待』第1話(石井光太/原作 、鈴木マサカズ/構成 、ワダユウキ/作画)

理由は大きく分けると2つあります。ノンフィクションの書き手として、社会問題にまつわる取材をさまざましていますが、少年院やフリースクールを取材していると、教育虐待の犠牲者みたいな子たちが一定数います。

ところが教育虐待の場合は、少年院などでも虐待された子、被虐待児としてはカウントされていないケースがかなりあります。

日本の少年院の場合、被虐待児の数はだいたい男子4割、女子6割くらいで、そのほとんどが身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待といったいわゆる第三者が認識できる暴力です。一方、教育虐待は心理的虐待というなかなか見えにくいものとして起こることが多く、他の虐待と比べてわかりにくい。

【マンガを読む】『教育虐待』第1話

実際、児童相談所や学校が教育虐待を認識しているかというと、そうでもないわけです。「教育熱心な家庭」の子ども部屋という「密室」で起こるので可視化されにくいし、どこからどこまでが虐待かという線引きが難しい。子どもへの影響が大きいにもかかわらず、概念が広まらない。そんな教育虐待というものを社会に知ってもらう必要があると思ってテーマにしました。

それから、特に近年は首都圏を中心に中学受験ブームが起きていますが、ここにはたぶん、格差の問題も絡まってくると思うんです。受験するのが当たり前という環境となっている地域も多数あります。そんな中では、経済的にちょっと苦しいという家庭でも、中学受験の世界にのみ込まれる可能性が出てくる。家庭学習での自力受験は難しく、親は塾にお金を払わなきゃいけない。そうすると、親は支払っただけの見返りを求めてしまいがちになります。

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