福岡の私立高校「謎ルール」即廃止した校長の真意 「赤信号みんなで渡れば怖くない」が今も残る
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 15時0分
以来、台風が接近する時期になると、いち早く休校か否かの判断を下しています。少しでも生徒たちの登下校にリスクがあるのなら、休校。もちろん、自然が相手ですから外れることはあります。
特に難しいのは金曜日に台風の接近があり、土日を挟んで月曜日を休校にするかどうかの判断です。月曜日は休みと決めた数時間後に台風が進路を変え、日曜日の夕方には美しい夕焼けになり、翌日は台風一過の好天になったこともありました。
でも大事なのは、決める勇気のある組織であることです。
今では周辺の学校は大雨や台風のとき、柳川高校がどう判断しているかを参考にしていると聞きます。最初は僕からのトップダウンでしたが、今は教職員全員が生徒の安心安全を最上位の基準にして判断が下せるようになりました。
自分のモノサシを変えたい人へ
「赤信号みんなで渡れば怖くない」というコピーは、1980年代に漫才コンビのツービートのビートたけしさんが漫才の中で使ったフレーズです。それから40年以上経ちましたが、今も日本の国民性をよく表わしています。
「今これが流行(はや)っているから」「隣の学校もこんなことやっているから」「他の学校はこう決めたから」
そんな判断基準で物事を決めているうちは、自律した個人、組織にはなれません。判断する側の覚悟不足であり、責任から逃れるような決め方をしているうちは組織の成長もありません。
当事者として自分の、組織の判断に芯を通すことから始めていきましょう。
「みんなが納得」の「〝みんな〞は誰ですか? 」
物事を決めていくとき、みんなでしっかりと話し合って、理解して進めていくのが組織運営の美学とされています。全員が合意できるまで議論を深めていくのはたしかに大切なことです。
しかし、それでは時機を逃してしまう場面もあります。
僕は組織で物事を進めていく際、大きく分けて2つの決定方法があると考えています。
1つは話し合いを重ねて重ねて進めていく、ソフトランディング。もう1つは話し合いを土台としながら、リーダーが決断を下すハードランディング。どちらが優れているというわけではなく、組織を取り巻く状況によって必要とされる最適な決定方法が変わってくるのです。
僕は校長就任から現在まで、ハードランディングを軸にして学校改革を進めてきました。
当初、よく教頭からこう言われていました。
「校長先生、強引にやられたらみんなが納得しないですよ」
こちらとしては、「みんなが納得」の「〝みんな〞は誰ですか?」という感覚です。
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