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国内絶不調のマツダが高級SUV「CX-80」に託す希望 2年ぶり国内新車で競合ひしめく市場に参戦

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 8時10分

もともとCX-60は国内月販2000台の目標を掲げていたが、8月まで12カ月連続で月販1000台を下回り、発売後25カ月の平均月販は約1368台にとどまる。毛籠社長も「期待をしていたCX-60で品質問題などがあり、少し勢いが付けられていない」と振り返る。

国内への新車投入がなかったことも響いている。今回のCX-80の前の新車がCX-60。実に2年ちょっと新車投入が途切れたわけだが、ここにもCX-60の品質問題が影を落とした。改めてCX-80について「(問題を)全て潰した」(毛籠社長)ことで投入が約1年遅れた。

待ちに待った新車であるCX-80に期待されるのは国内販売のテコ入れだけではない。

近年、マツダは「ラージ商品群」と名付けた中大型の上級SUVを4車種展開する戦略を進めてきた。CX-60のほか「CX-70」「CX-90」(2車種は日本未発売)は投入済み。CX-80が日欧でほぼ同時発売となったことでシリーズが出そろうことになる。

ラージ商品群はマツダにとって台数の牽引役にとどまらない大きな意味がある。ジェフリー・エイチ・ガイトンCFO(最高財務責任者)は、ラージ商品の1台当たり利益はマツダ車の平均と比べて約2倍だと明かしており、「BEV(電気自動車)に転換するための重要な原資」であるのだ。

儲からないEV、開発費をどう稼ぐか

EV投入には電池調達や専用プラットフォームの開発など巨額の投資が必要で、「いくらお金があっても足りないくらいの出費を伴う懸念がある」(毛籠社長)。苦労してEVの販売にこぎつけても、少なくとも当面は収益的にはむしろマイナスになる。

そうした構造が欧米メーカーを苦しめている。世界販売台数100万台強で投資余力も限られるマツダのような小規模メーカーは特に、既存車種でしっかり稼げるかが大事になってくる。

マツダは「2030経営方針」として掲げる中長期ビジョンで、2025~2027年を「電動化へのトランジション」のフェーズと位置付けており、後半に中国からEV専用車を導入していく計画だ。電動化への本格転換が迫る中、利益の源泉と位置付けるのがラージ商品群となるのだ。

日本でのラージ商品はCX-60とCX-80の2車種。前述のようにCX-60が躓いた分、CX-80が担う役割は大きくなる。ただ、CX-80が日本でどれだけ売れるかは未知数だ。

マーケットにはライバルがひしめいている。

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