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あの「ビックロ」へ2年ぶりにユニクロが帰ってきた 詰めかける訪日客、足元はユニクロC、Uなど牽引

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 7時20分

新宿本店はかつての「ビックロ」ではないが、ビックカメラと同居する形になっている(記者撮影)

「ビックロ」にユニクロが帰ってきた――。カジュアル衣料のユニクロを展開するアパレル国内最大手のファーストリテイリングが、新宿のビックロ跡地に「ユニクロ新宿本店」を10月25日にオープンした。

【写真】新宿本店には“限定商品”がずらり

家電量販大手「ビックカメラ」と共同出店した「ビックロ ユニクロ新宿東口店」が2022年6月に閉店して以来、約2年ぶりの再出店だ。これで新宿エリアにおけるユニクロの店舗展開は5店舗目となった。

ユニクロ新宿本店は約1200坪。全3フロアで構成され、ユニクロのほかにPLST(プラステ)やコントワー・デ・コトニエ、プリンセス タム・タムなどの売り場も展開する。ファストリの遠藤真広グループ執行役員は「2500店の中で世界一の売り上げを目指す」と語るなど、世界に向けた「グローバル旗艦店」の位置づけだ。

新宿本店独自の商品群も展開

道路に面する1階には、ユニクロで人気の多様なニット商品群が素材別に並べられている。新宿本店ではカシミヤ、パフテック、ヒートテックの商品群に注力しており、中でも30色で展開されるカシミヤセーターの売り場は存在感を放っていた。

このほか、2階にはカフェスペース「UNIQLO COFFEE」を設置。「追分だんご本舗 新宿本店」のだんごや「新宿中村屋」のモンブラン、スイートポテトなどを提供する。日清食品や文明堂など、新宿の有名企業とのコラボTシャツも販売するなど、独自色も打ち出しているのが特徴だ。

オープン初日の25日は、開店時間を早めて9時25分から営業を開始した。10時までに1200人が来店したといい、小雨が止んだ10時以降は勢いがさらに増していた。国内客に加え、免税レジに列ができるほど多くの訪日客が足を運んだ。

アメリカとオーストラリアから訪れたという4人グループの訪日客は、「(新宿本店が)今日オープンなのは知らなかったけど、新宿を歩いていたら出くわしてラッキー。東京観光でもユニクロはマストで、この後は計画していた銀座のユニクロトーキョーに行くよ」と話していた。

【画像7枚】かつての「ビックロ」跡地に出店した新宿本店には限定商品がずらり、あのゴジラもコラボTシャツで登場

アパレル業界の秋冬商戦が一段と本格化する中、ユニクロは今なお、最も消費者の関心を集めるブランドといっても過言ではない。

国内ユニクロの月次売上高は、9月に前年同月比22.1%増を記録。客数は同18.1%増、客単価は3.4%増で、客数の激増が主な要因だ。昨年9月は同4.6%減だったとはいえ、かなり強い数字となった。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの広報によれば「ブラトップやTシャツ、感動パンツ、エアリズムインナーなど、夏物コア商品の販売が好調だった。端境期に着用できるケーブルクルーニット群や、ジーンズ、チノパンツ、シャツなども売れた」という。

9月6日に「UNIQLO : C」秋冬コレクションの販売が始まったことも客足を牽引した。ユニクロCは英国の著名デザイナー、クレア・ワイト・ケラー氏によるプロジェクトで、2023年9月に始動している。

「ユニクロ」も著名デザイナーで変わる?

2023年秋冬と2024年春夏を経て、今回はメンズ商品も加わった。ウィメンズ31商品、メンズ12商品を展開。1990円のインナーから1万2900円のアウターまで、実用的なデザインかつ手に取りやすい価格でそろえた。

ユニクロCの期待は高く、メディアやインフルエンサーがこぞって紹介。例えば、スウェットワイドパンツはトレンドを押さえたシルエットで発売前からSNSでも話題となっていた。

また、ケラー氏はユニクロのクリエイティブ・ディレクターに就任し、2024年秋冬からメンズを含むユニクロのメインの商品群を手がけることになった。

ユニクロのコラボレーションは続き、9月27日にはパリのデザインチームによる「Uniqlo U」を発売。ユニクロの新ラインとして、ユニクロCに先駆けて2016年から展開しているラインナップだ。ユニクロCよりもモード・スポーティーな商品で人気を集めている。

10月も攻勢は続いている。11日に相澤陽介氏によるホワイトマウンテニアリングとのコラボ商品、18日にはJW アンダーソンとのコラボ商品を発売した。

怒涛のコラボ展開も後押しし、現在、業界でユニクロほどの勢いのある競合は見当たらない。今2025年8月期は断トツのスタートとなったが、10月以降も好調を維持できるか注目される。

国内ユニクロにも伸びしろはある?

ファストリの前2024年8月期決算は、売上収益が前期比12%増の3兆1038億円、営業利益は同31%増の5009億円と初めて3兆円台に乗せ、過去最高益を更新した。

国内と海外のユニクロ事業は売上高、営業利益とも過去最高だった。「ブラトップが世界的なヒットになり3200万枚以上を販売。(中略)欧米をはじめ世界中で好調だった」(塚越大介・ユニクロ社長)。

ファストリの岡﨑健CFO(最高財務責任者)は「上期の利益が大きく下期が少ないという利益構造から、下期もしっかり稼げる体質に変革した」と総括している。

2025年8月期の業績予想は、売上高3兆4000億円(前期比9.5%増)、営業利益5300億円(同5.8%増)、純利益3850億円(同3.5%増)。柳井正社長は「年5000億円ずつ売り上げを伸ばせば、数年のうちに売上高5兆円に届く。今は成長へ絶好のタイミング」とさらなる規模拡大に意欲を見せる。

ユニクロの成長は海外事業が中心で、国内は安定成長というのが業界の一般的な見方だ。だが、世界的な知名度の向上で、インバウンド売上高が前下期に8%まで拡大するなど、国内ユニクロにもまだ伸びしろはある。新たな旗艦店の新宿本店とともに、国内の動向も注視する必要がありそうだ。

山﨑 理子:東洋経済 記者

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