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自動車学校でも省人化「AI教習システム」の必然性 指導員不足の解決を目指す新技術を体験した

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 8時40分

しかし、近年は運転の指導にあたる指導員が不足しているという。人手不足の問題はここにも暗い影を落としている。指定自動車教習所としても採用者の確保に勤しんでいるものの、現役指導員の高齢化が進む中、運転免許取得希望者が毎年、一定数いることや、前述した高齢ドライバー対象の運転技能検査業務などが重なっていることから、慢性的に人手が足りない。

こうした状況を踏まえ、「AI教習所株式会社」(福岡県大野城市)では、「AI」(人工知能)を活用した「AI教習システム」を開発。その技術を活用した「AIペーパードライバー講習」をカリキュラムとして業務に採り入れている。筆者は採用校のひとつ、「南福岡自動車学校」(福岡県大野城市)に出向き、AIを活用した「みきわめ教習」を体験してみた。

まず、AI教習の基本的な部分を説明すると、システムは高度で複雑だが、実技に使用する車両は一般的な教習車がベースだ。この車両に自車周囲360度の情報を取得する「LiDARセンサー」、進行方向を記録する「光学式カメラ」(別にドライブレコーダーを装着)、ドライバーの顔を認識するための「ドライバーモニター用光学式カメラ」、そして車両が障害物に接触しそうになると機能する「簡易的な衝突被害軽減ブレーキ」(自動車メーカーが実装する衝突被害軽減ブレーキとは別)が備わる。もちろん教習車なので、助手席足元には指導員操作用のアクセルとブレーキの両ペダルが付いている。

もっとも気になる「AI」の部分だが、AI教習車両では、ドライバーモニター用光学式カメラの映像分析にAIを使用。具体的には、ドライバーの顔向きを正確に認識・判断するためのアルゴリズムにAIが活用されている。AIが運転操作を行ったり、教えたりするわけではないが、目視によるドライバーの安全確認は安全運転の一丁目一番地であることから、顔向きの判断にAIを活用することは理にかなっている。

実際、自動車メーカーが実装する先進安全技術ではドライバーの顔向きだけでなく視線を送った時間までもドライバーモニター用の赤外線カメラで判断している。たとえばトヨタ/レクサスの一部のモデルでは「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(前方車両などを検知しブレーキ/アクセルの操作をサポートしてくれる機能)と「車線中央維持機能」(車線や白線などを読み取り車線の中央を維持をサポートしてくれる機能)稼働時に使用可能な、自動車線変更のトリガーとして、車線変更する側にドライバーによる目視での安全確認が使われている(R79 /ACSF/カテゴリーD 自動操舵等に係る国際基準)。

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