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寄付金が潤沢に集まっている国立大学ランキング 収益比率1位の旧・東京工業大学は89億円

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 7時10分

寄付金が潤沢に集まっている国立大学ランキング

前回までご紹介したように、国立大学は運営費交付金が大きなウエイトを占めている。ただ、文部科学省の資料によると、国立大学運営費交付金は2004年度の1兆2415億円から2024年度には1兆784億円に減少している。年々削減が続き、大学経営は苦しさが続く。

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そうした中で安定した経営を行うためには外部資金の獲得が大きな課題となっている。受託研究や受託事業などもあるが、とくに企業や卒業生、一般市民などからの寄付金に大きな期待が集まっている。

では、現状の大学への寄付はどのような状況なのか。「東洋経済・国公立大学財政データベース(2024年版)」(データは2022年度)を使い国立大学の寄付金について見ていきたい。

寄付金の貢献度が高い大学は?

国立大学で企業の売上高に当たるのが、「経常収益」だ。内訳は国からの交付金である「運営費交付金収益」、授業料・入学金・検定料といった「学生納付金収益」はじめ、「受託研究収益」「受託事業等収益」「寄付金収益」などがある。医学部があれば「附属病院収益」も加わる。

今回は附属病院の有無の影響を除外するために経常収益から附属病院収益を引いた金額に対する寄付金収益の比率を出し、高い順にランキングした。上位は大学経営で寄付金の貢献度が高い大学ということになる。

なお、この寄付金収益は損益計算書に記載されているが、使途目的が決まった時点で計上される科目のため、その年に実際に受け入れた金額とズレが生じていることには注意してほしい。

ランキング1位は10月に東京科学大学となった旧・東京工業大学で寄付金比率は15.3%だった。寄付金収益は89億円で金額は国立大学4位の規模となっている。学生納付金73億円を上回り、運営費交付金218億円、受託研究収益111億円に次ぐ重要な収入源となっている。

さらに、10月に東京医科歯科大学と統合し、世界トップクラスの科学系大学を目指すための財政基盤の強化を目的に、「東京科学大学基金」を設立し、幅広く寄付を募っている。

2位は東京藝術大学で同11.8%(以下同様)。寄付金は11億円だった。アートとデジタル技術を融合し、文化・芸術の社会的価値を最大化するため、「アートDX基金」や「若手芸術家支援基金」など特色のある基金で寄付を集めている。

3位は大阪大学(91億円)と浜松医科大学(7億円)が7.9%で並んだ。大阪大の金額は国立3位。浜松医科大は学生、研究者および医療従事者が安心して教育・研究・診療に打ち込める環境を整備するため、「浜松医科大学基金」を設立している。

寄付金の総額は82大学法人で1198億円

5位は東京大学、京都大学、広島大学の3校が7.7%。東京大、京都大は金額ではそれぞれ1位、2位だった。以下、8位一橋大学、9位岡山大学、10位は熊本大学、徳島大学の2校が並んだ。

一方、下位は83位兵庫教育大学・鳴門教育大学、85位鹿屋体育大学、86位総合研究大学院大学など教育系の大学が多かった。

寄付金の総額は86校(82大学法人)で1198億円。附属病院収益を除く経常収益総額2兆900億円の5.7%に過ぎない。寄付が活発なアメリカなどの大学とは差が大きいと言われる。寄付金を大きく増やすための取り組みがさらに必要になる。

岸本 吉浩:東洋経済 記者

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