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リモートワーク廃止の流れは経営者の支配欲求? 日本企業が「アマゾンに続け!」となるのは危険

東洋経済オンライン / 2024年10月29日 7時0分

ここで、「リモートワーク反対の理由はいろいろあるけど、たいてい綺麗ごとです。単純に経営者は支配傾向が強いからですよ」(小売り)という興味深いコメントがありました。

支配傾向とは、他人を自分の意志に従わせて行動させようとする欲求のことです。多くの経営者は支配傾向が強く、部下を意のままにコントロールしたいと考えます。リモートワークで社員の行動がブラックボックス化し、自分の支配から外れてしまうのは、「経営者にとって許しがたいこと」(小売り)のようです。

このように、社員はリモートワークに賛成、経営者は反対と明確な傾向があったのに対して、意見が大きく割れたのが、人事部門担当者です。

「反対です。リモートワークは社員がリラックスして仕事ができる反面、プレッシャーを感じにくく刺激も少ないため、長時間にわたってモチベーションを維持するのは困難です。生産性を上げるには、やはり出社を基本にするべきでしょう」(素材)

「賛成です。リモートワークでは、社員に高度な自律性とコミュニケーションスキルが求められます。ただ、難しいからリモートワークをやめようとするのではなく、社員の自律性が高まるように、またコミュニケーションが活性化するように職場運営するほうが、長期的には生産性が上がっていくと思います」(化学)

また、多くの人事部門担当者は、経営者と社員の間にいるという立場から、板挟みで判断をしかねていました。

「経営者からはリモートワークの縮小・廃止を検討するよう指示が出ています。もっとも、リモートワークを望む社員が多いですし、リモートワーク制度が就職・転職市場で一定のアピール材料になっています。経営者の指示だからといってハイハイと言うことを聞くべきか、悩ましいところです」(情報サービス)

アマゾンのリモートワーク廃止はリストラ策?

では、今後はどうでしょう。日本でも、今年に入ってリモートワークを縮小・廃止する企業が出始めています。経営者は、上記のようにリモートワークに否定的です。ということから、今後リモートワークは一気に縮小・廃止に向かうと予想する向きがありますが、そうでしょうか。

日本の今後を占う前に、アメリカのリモートワークについて確認しておきましょう。国土が広大なアメリカでは、リモートワークの要望が強く、コロナ前からIT企業を中心にリモートワークがかなり普及していました。

アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは、今回のリモートワーク廃止について、「私たちは新型コロナ拡大前のように、オフィスに戻ることを決めた。社員の学習や連携、企業文化の強化などを容易にするためだ」と理由を説明しています。

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