韓国「ロシア由来」の武器をウクライナへ送るのか 韓国の主要武器はロシアの技術から生まれている
東洋経済オンライン / 2024年10月29日 8時0分
――韓国はウクライナの隣国・ポーランドにも武器・装備品を輸出していますね。
ポーランドは韓国から、K2戦車やK9自走榴弾砲、FA50軽戦闘機や、前出の「天舞」多連装ロケット砲などの調達を実施・計画しています。2024年はルーマニアが同様の兵器を購入して話題になりました。過去10年あまりの間に東欧からバルト三国、そして北欧諸国が韓国のK9自走榴弾砲を導入してきました。
北朝鮮の派兵が実現して常態化すれば、韓国軍が使用する中古のK2戦車やK9自走榴弾砲もウクライナに送る可能性が出てくるかもしれません。
韓国はポーランドが防衛産業の大規模生産拠点になることを支援しており、周辺国の韓国由来の兵器が故障・破損すると、ポーランドが部品供給・修理などを行うといった新たな協力関係が生まれるかもしれません。
世界最高レベルにある韓国の防衛産業
――ロシアと北朝鮮はウクライナ戦争以降、協力関係を深めています。
2024年6月にプーチン大統領が訪朝し、「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んで以降、全般的な協力関係を構築してきました。とくに軍事面での協力を、韓国をはじめ周辺国は注視してきました。一方でロシアは、ウクライナ戦争以降、韓国がアメリカやヨーロッパなどの呼びかけに応じ、軍事的な支援を行うことを牽制してきました。
日本ではあまり知られていないことですが、韓国の防衛産業はすでに世界レベルにあり、かつその成長の過程において、ロシアとの軍事面での協力関係を利用した歴史があります。
1990年以降、ソ連崩壊後、新生ロシアが誕生した時期から、韓国ではロシアと防衛産業協力協定に基づいた軍事技術協力が行われてきました。
――きっかけはどのようなものだったのでしょうか。
冷戦末期に当時の韓国の大統領だった盧泰愚(ノ・テウ)が推進した「北方外交」により、当時のソ連と国交を正常化させ、対ソ借款を提供したことが契機になったといえるでしょう。
この借款を引き継いだロシアが、経済悪化により償還が厳しくなると、その代替的手段の1つとしてロシアの防衛装備や技術導入によって償還するようになります。
1995年以降、債務償還の代わりとしてロシアからT80U戦車やBMP-3歩兵戦闘車などの装備品が韓国に渡り現在も韓国にあります。この協力事業は「プルゴム(ヒグマ)事業」と名づけられています。
その後、韓国とロシアの間では、1996年に「国防協力協定」、1997年に「軍事技術分野・防衛産業・軍需協力に関する協定」、2001年に「軍事秘密情報の相互保護に関する協定」、2005年には「地対空誘導武器体系協力事業の相互協力に関する協定」などが締結されました。
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