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全国1万拠点のLUUP、成長のカギを握る"対策" イメージ悪化を防ぐ取り締まり強化で事業拡大へ

東洋経済オンライン / 2024年10月30日 13時0分

同社は対策として、利用開始時の本人確認や交通ルールテストの全問正解を義務付けている。全車両にGPSを搭載し、不適切な駐車も監視。対人・対物・自損の保険も完備する。

電動キックボードが特定小型原動機付自転車として免許不要で乗れるようになったことで、新規ユーザーの裾野は大きく広がった。事業拡大フェーズに入った今、岡井氏は「より厳格な運営が必要」と判断。違反者への対応も強化する方針だ。「軽微な違反であっても、警察と連携してユーザーを特定し、必要に応じてアカウントの凍結も実施していく」と強調した。

技術面での対策も進められている。GPSの精度が向上すれば、歩道走行などの違反を自動検知し、強制的に速度制限をかけることも可能だ。すでに内閣府と実証実験を始めているが、現状では精度やコストの面で課題が残る。「足元では人的な取り締まりを強化しつつ、新技術の開発も並行して進めていく」と岡井氏は説明する。

「街じゅう駅前化」への展望

岡井氏が掲げるビジョンは「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」こと。日本の都市は高度経済成長期に鉄道網が整備され、駅前に街が形成されてきた特徴がある。その結果、駅から離れた場所の不動産価値は相対的に低く、都市機能も駅前に集中しがちだ。LUUPはこの構造を変えようとしている。駅から離れた古くからある商店街や、魅力的な店舗へのアクセスを改善することで、都市の新しい回遊性を生み出す狙いだ。

「徒歩30分の場所でもLUUPなら5~10分。街中にポートがあれば、駅から離れた場所でも駅前と同じような利便性で生活できる」(同氏)。マンションの入居者専用ポートを設置する例も出るなど、新しい都市の在り方への挑戦は着実に進んでいる。

都市部での展開に加え、地方でも新たな動きが始まっている。地元自治体や企業と協業し、その地域に合わせた台数や料金設定でサービスを提供。観光客が集中する季節だけポート数を増やすなど、大手交通機関では対応が難しい柔軟な運営を可能にしている。

事業としての手応えも出てきた。各エリアでの採算は確保できており、ポート数を増やすことで収益性は向上するという。ただし、企業全体としての黒字化については明言を避けた。

その一方で、創業時の構想でも広がりを見せている。最近では訪問介護事業者との連携も始まり、介護スタッフの移動手段としても活用され始めた。事業所に寄らずに直接利用者宅を訪問できるため、スタッフの稼働効率が向上。人材確保にもつながっているという。

「便利で安全なだけでなく、日常が少し楽しくなるようなインフラを目指したい」。岡井氏の視線は、すでに次のステージを見据えている。

石井 徹:モバイル・ITライター

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