ノンスタ石田が明かす「漫才」と「コント」の"違い" 漫才じゃない元祖ジャルジャル、M-1で評価の訳
東洋経済オンライン / 2024年10月31日 15時0分
でも、これからはわかりません。
ここ何年かのM-1でも、共闘型のコント漫才が毎回かなりいいセンまでいくようになってきているので、近い将来、コント師の漫才が頂点に立つ可能性は十分あるでしょう。ただ、僕としては、「漫才師のみんな、がんばれよ」と思ってしまいますね。
「漫才じゃない」の元祖ジャルジャル
「漫才じゃない」ともっとも言われてきたのは、おそらくジャルジャルでしょう。それが特に顕著だったのはM-1ですね。
決勝まで進んでも、いまいち点数につながらない。2010年に初めて決勝進出したときにも、審査員の松本(人志)さんから「これを漫才と取っていいのかどうか?」と、はっきり言われていました。
世界観と展開がコント的、なおかつ独特すぎて、「これは漫才じゃないんじゃないか」という見る側の引っかかりが壁になってしまう。そのために何度、彼らは悔し涙を飲んだことか。
それが2018年のM-1決勝の1本目、ずっとジャルジャルに厳しかった中川家の礼二さんが高得点をつけました。
「ジャルジャルは漫才の振りで入るコント」というのが、礼二さんの当初からのジャルジャル評。礼二さんはジャルジャルの面白さを前々から認めていましたが、ご自身にはずっと大切にしてきた王道の漫才スタイルがあります。面白いとは思っても、M-1のような舞台でジャルジャルに安易に高得点をつけるわけにはいかなかったんやないかと思います。
「おもろいのはわかってんねんけど、自分たちの漫才があるから、ジャルジャルの審査が一番難しい。石田やったらどうする?」と、直接聞かれたこともありました。
一方で、僕はジャルジャルからもいろいろと相談を受けていました。
彼らは彼らで、面白いネタは作れるんやけど、やっぱり「漫才じゃない」と言われ続けていることを気にしていました。「どうしたらもっと漫才っぽくなるんかな」と試行錯誤していたんです。
ジャルジャルが見せた安堵と感激の涙
そういう経緯があるなか、迎えたのが2018年のM-1でした。
1本目のネタは「国名分けっこ」。オリジナルの変なゲームを持ち込んだ福徳(秀介)くんに、後藤(淳平)くんが「わけわからへん」っていうリアクションをとりながら、最後までしっかり振り回されていました。
文句なしに面白かった。「漫才じゃない」と言われ続けたジャルジャルですが、このネタを見て、僕はこれはめちゃくちゃ漫才やなと思いました。
しかも、ただシステマティックに変なゲームを見せるだけではなく、ネタの本筋とは違うところで後藤くんのかわいげを見せる。そういうナマの人間臭さを垣間見せることで「設定外の笑い」をとれていたのもよかったと思います。
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