中国電池CATL、売上高2桁減でも26%増益の実力 価格を下げシェア拡大、工場はフル稼働に接近
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 17時0分
EV(電気自動車)向け車載電池で世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は10月18日、2024年7~9月期決算を発表した。
同四半期の売上高は922億7800万元(約1兆9407億円)と、前年同期比12.5%の2桁減収となった。それとは対照的に、純利益は131億3600万元(約2763億円)と同26.0%増加し、アナリストの事前予想の平均値を上回る成果をたたき出した。
車載電池のグローバル市場で、CATLは引き続きシェアを拡大している。韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、2024年1月から8月までの期間に世界で生産された新車への搭載量ベースで、CATLの市場シェアは37.1%と前年同期より1.6ポイント上昇した。
粗利率3割超に改善
市場シェアの拡大にもかかわらず、7~9月期の売上高はなぜ減少したのか。その要因について、CATLの経営陣は決算説明会で「電池の原材料価格が大幅に下落したことに伴い、わが社の製品の出荷価格も(連動して)下がったため」と説明した。
とはいえ、原材料の値下がりによるメリットが出荷価格下落のデメリットを上回ったことで、事業全体の利益率はむしろ改善。7~9月期の粗利率は(4~6月期の26.6%から)31.2%に上昇した。
CATLによれば、同社が独自開発した高付加価値の車載電池の販売増加も、利益率の向上に貢献している。その代表である高容量の「麒麟電池」と急速充電性能に優れる「神行電池」は、出荷量全体に占める比率が現在の3割から2025年には7~8割に拡大する見通しだという。
中国の車載電池業界では、過去数年間に各社が新増設を競った生産設備が続々稼働したタイミングで、EV販売の成長が鈍化。業界全体が価格競争の激化と設備稼働率の低迷に苦しんでいる。最大手のCATLも例外ではなく、2024年上半期(1~6月)の設備稼働率は65.3%に下がっていた。
だが、CATLは(製品価格を下げて受注量を拡大する戦略により)この苦況をすでに克服しつつあるようだ。同社の経営陣は決算説明会で、7~9月期の車載電池の出荷量が大幅に増えたことにより「生産ラインはフル稼働に近づいている」と明らかにした。
リチウム相場下落で減損
CATLは7~9月期の決算報告書と同時に、リチウム相場の急落に伴う特別損失についても開示した。具体的には、棚卸資産の減損引当金として14億3000万元(約301億円)、長期資産の減損引当金として52億2000万元(約1098億円)をそれぞれ計上した。
同社の説明によれば、リチウムイオン電池の主原料である炭酸リチウムの市場価格が大幅に下落したため、保有資産の簿価と実際に回収可能と見込まれる価値の差額について減損処理を実施したという。
この事実は、原材料の値下がりがCATLにとって必ずしもメリットだけではなかったことを物語っている。同社は中国国内でリチウム資源が豊富な江西省宜春市に大規模な投資を行ったが、同市でのリチウム採掘事業と炭酸リチウムの加工事業は(採算が合わないため)操業を一時停止している。
これらの事業の再開見通しについて、CATLの経営陣は「コスト低減策を検討しており、今後の状況を見て判断する」と述べるにとどめた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は10月19日
財新 Biz&Tech
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