ニコン株を買い増すサングラス「レイバン」の正体 「時価総額16兆円の巨艦」が日本企業を相次ぎM&A
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 7時0分
そんな中で急浮上したニコンの株式買い増しの狙いは何か。ニコンとエシロールは決して目新しい関係ではない。両社は2000年に折半出資の合弁会社「ニコン・エシロール」を設立しており、長年にわたって眼鏡用レンズ事業で協業してきた。
両社の光学技術を駆使したメガネレンズ「ニコンレンズウェア」や、エシロール社が世界で初めて開発した境目のない遠近両用メガネレンズ「バリラックス」などを展開する。
眼鏡合弁で良好な関係構築
2023年12月期の合弁会社の売上高は186億円。ニコン社長の德成旨亮氏も社長就任前の今年4月まで合弁会社の取締役を務めていた。10月15日にはニコンの経営戦略本部から梶原望氏が代表取締役に就任しており、ニコンの売上高(2024年3月期は7172億円)に占める割合は小さいものの、合弁会社の位置づけは決して小さくない。
あるニコン幹部は「20年以上にわたって続くジョイントベンチャーは世界的にも珍しく、お互いのビジネスにとって最善の関係でありたい」と述べており、両社の強固な関係がうかがえる。
カメラや露光装置で知られるニコンだが、実は眼鏡事業にも深い歴史がある。ニコンは1917年に日本光学工業株式会社として創業して以来、軍需向け光学機器を中心に製造していた。終戦後に民生向け製品へ転換を迫られ、眼鏡レンズの開発に着手した。
カメラの初号機出荷に先駆け、1946年には眼鏡レンズ「ポインタール」を発売。その後の高度経済成長期の波に乗って成長を遂げ、1970年代にはサングラスやフレームの分野にも参入していった。
当時はカメラに次ぐ第2の事業柱となっていたが、1980年代後半にレンズの低価格化などを背景に競争が激化。それ以降、業績は低迷し慢性的な赤字が続いていた。そんな折、ライバルのHOYAと提携していたエシロール社が関係を解消。新たにニコンに提携を持ちかけたことをきっかけに、合弁会社の設立に至った。
ニコン・エシロールは、エシロール社の生産拠点や流通網を生かしてグローバルに事業を展開しており、特に、遠近両用レンズなど高機能なレンズの開発では、ニコンが有するような高度な光学技術が求められる。
こうした関係や最近の日本企業への相次ぐ出資・買収案件を鑑みると、エシロール・ルックスオティカのニコン本体への新たな出資は日本での眼鏡事業のさらなる強化策の一環とみえる。だが、それだけではなさそうだ。
アクティビスト対策との見方も
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