VAIOの新モデルが「AI特化」よりも優先したこと 新フラッグシップモデルで示した興味深い選択
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 7時20分
ウィンドウズPCメーカーのVAIOが、設立10周年を迎えた2024年に投入する新フラッグシップモデルで、興味深い選択をした。マイクロソフトが今年のPC市場の主戦場として位置付けるAI PCの条件を満たさない製品を、あえて投入したのだ。最新技術への追従よりも信頼性を重視するという判断の背景には、PC市場の大きな変化があった。
法人向けメーカーとして成長
2014年にソニーから独立したVAIOは、個人向け高級PCブランドというイメージから、大きく変貌を遂げている。本社を長野県安曇野市に移転し、当初は従業員約1100人から約240人へと大幅に縮小してのスタートだった。しかし、「本質+α」を基本メッセージに掲げ、法人向け市場に注力する戦略が実を結び、現在は340人規模まで成長。日本市場に特化したPCメーカーとしての地歩を固めている。
その戦略は、コロナ禍を経て大きな成果を生んでいる。IDCのデータによれば、PC市場全体が厳しい状況が続く中、VAIOは出荷台数を大きく伸ばしている。背景には、企業のPC投資に対する意識変化がある。
「コロナ禍で、PCは会社が提供できる唯一の『働く環境』となりました」とVAIO 開発本部 プロダクトセンター長の黒崎大輔氏は説明する。「そこから、もっといいものに投資してもいいのではないかという意識が生まれてきています」。
成熟したPC市場には使用期間という変化が訪れている。「以前は5〜6年と言われていたPCのライフサイクルが、今では6〜7年という声を多く聞くようになりました」と黒崎氏は指摘する。
この変化は、企業のIT投資の考え方の転換を示している。最新スペックへの追従よりも、長期的な運用コストや安定性を重視する傾向が強まっているのだ。
市場変化の中、信頼性向上を選択
このような市場変化を踏まえ、VAIOは新フラッグシップモデル「VAIO SX14-R」(個人向け)と「VAIO Pro PK-R」(法人向け)の開発で思い切った判断を行った。通常より開発期間を延長し、品質向上のための試作を1回追加し、計4回行った。結果として、マイクソフトが推進する「Copilot+ PC」の要件を満たさない選択となった。
「今回あえて開発期間を延ばしたのは、より長期の耐久性テストや限界試験を行うためです」と黒崎氏は説明する。「6〜7年使われる製品として、信頼性を最優先しました」
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