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シャープ、個性強めな「19万円のスマホ」投入の狙い ハイエンド機とエントリーモデルの両輪戦略で攻勢

東洋経済オンライン / 2024年11月1日 18時10分

先行して発売した「AQUOS R9」は前世代モデルの3倍の売れ行きという(筆者撮影)

「スマートフォンは安ければ安いほどいい」──。近年の市場動向を見ていると、そんな印象を受ける。実際、日本市場における平均販売価格は世界的に見ても「下がり方が激しい」(シャープの通信事業本部長の小林繁氏)という。そんな中、シャープは10月下旬に19万円台のハイエンド機「AQUOS R9 pro」を発表した。

【写真で見る】「AQUOS R9 pro」はデジタルカメラのような風貌

「写真」への徹底したこだわり

R9 proの最大の特徴は、ドイツの名門ライカカメラ社が監修した「バリオ・ズミクロン」カメラシステムだ。

すべてのカメラに5030万画素の高精細イメージセンサーを搭載。標準カメラには1/0.98インチの大型センサーを搭載する。望遠カメラには光学2.8倍ズームを実現する1/1.56インチセンサーを採用した。広角カメラは122度の視野角を確保しながら、マクロ撮影にも対応する。

要するに、高級コンパクトデジタルカメラに匹敵する撮像性能を持ちながら、スマートフォンならではの多彩な撮影にも対応できる設計だ。

暗所でもクリアな写真が撮れる大型センサー、風景写真に適した超広角、ポートレート撮影に適した望遠まで、あらゆる場面で本格的なカメラとして使える。接写も2.5センチまで寄れるため、料理写真から風景まで、スマートフォンで想定されるほとんどの撮影シーンをカバーできる。

カメラ機能への本気度は、本体側面に搭載された物理シャッターキーからも伝わってくる。半押しでフォーカスを固定できる本格的な仕様で、このキー自体もデジタルカメラの部品をそのまま用いているという。さらに、市販のレンズフィルターが装着できるアタッチメントも用意された。

本体性能も高い。スマホの頭脳には「Snapdragon 8s Gen 3」プロセッサーと12GBのRAMを搭載、6.7インチのPro IGZO OLEDディスプレイは240Hzの可変駆動に対応する。上下に配置された大き目のスピーカーボックスは迫力のある音楽再生も実現する。バッテリーも5000mAhと大容量だ。

「最先端のカメラ技術を攻めていくうえで、この製品は非常に重要な商品だ」。事業本部長の小林氏はR9 proの意義をこう説明する。その価値は単純な販売台数や収益性だけでなく、より大きな戦略的意味を持つという。

実際、カメラや物理性能など、お手頃なスマートフォンの性能が底上げされてきた現在、フラッグシップモデルの存在意義が改めて問われている。シャープはその答えを「カメラを超えること」に見いだした。ライカカメラ社との度重なる議論を経て到達したその解は、本当の意味でメインとして使えるカメラと、本格的でありながら直感的な操作性の両立だった。

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