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5度のがんを克服した男性「高額な治療は不要」 自由診療クリニックで味わった「苦い経験」

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 16時0分

全ての自由診療のクリニックを否定するつもりはありませんが、実際に、「治療」というより「医療ビジネス」として経営されている金儲け主義のクリニックもあるようですので注意が必要です。「ちゃんとした医師がやっているから大丈夫」とは必ずしも言えない世界なのです。

かく言う私自身も、こうした自由診療のクリニックに関して2つほど苦い経験があります。

約20年前に妹が乳がんで闘病していたときの話です。妹のがんは肝臓にも脳にも転移してしまったため、国立がん研究センター中央病院の主治医から「もう積極的な治療の手段がないので、そろそろ地元でホスピスを探し始めたほうがいいです」と告げられました。

それまでに免疫細胞療法について調べていた私は「自由診療の免疫細胞療法などは効果がないのでしょうか?」と質問しました。

もちろん答えは「効果はありません」というものでした。

続けて「もし先生が妹と同じ立場になっても、自由診療のがん治療は受けませんか?」と質問しましたが、もちろん答えは「受けません」というものでした。

あまりにもきっぱりした回答だったこともあり、自由診療に期待することはやめました。

それでも、妹が治ることを諦めてホスピスを探すということは、私も妹の夫もどうしてもできず、治す方法がまだあるはずだと信じて、代替療法を提供する病院に妹を連れていったりしました。

しかし残念ながらしばらくの後、妹は天国に旅立ってしまいました。

また実は私自身、自由診療の漢方専門クリニックで高濃度ビタミンC点滴を受けた経験があります。このクリニックにはがんの再発予防と帯状疱疹後神経痛の緩和を目的に行ったのですが、問診の後この高濃度ビタミンC点滴を勧められ、「なぜ漢方医がビタミンCの点滴を?」と思ったものの「がんにも痛みにも効くから」と言われ、半信半疑で点滴を受けました。

会計のとき、点滴と私の症状に合わせて調合されたという1か月分の漢方薬で合計10万円を請求され、耳を疑ったのを覚えています。高額で、なぜかピッタリ10万円。診療明細も何もないため内訳は分かりません。

このとき、治療内容も治療費の金額も、院長が患者の足元と懐具合を見て適当に決めていると確信し、そのクリニックでの治療はやめました。

あとで調べてみると、高濃度ビタミンC点滴は自由診療のクリニックの金儲けに使われる常套手段のようでした。高くつきましたが、いい勉強になりました。

ちなみに治療費についての参考として書きますが、私は脳腫瘍の治療では標準治療としてがんの三大治療を2か月で全て受け、全部が保険診療で、自己負担額は合計で十数万円でした。最先端の術中MRIを使った手術も含まれています。つまりこの手術も保険診療の範囲内です。だから健康保険と高額療養費制度の恩恵を受けることができて、自己負担額は予想を大幅に下回りました。会計のときに、漢方専門クリニックとは別の意味で「間違いではないか」と思ったほどです。

「標準治療」こそが「最高」の治療

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