リュウジ「セブン酷評動画」が大炎上した本質理由 「炎上商法?」と物議醸した辛口レビューの反省点
東洋経済オンライン / 2024年11月6日 18時35分
リュウジさんと言えば、これまで「忖度なしの炎上上等」で評価をすることで知られていた。とくに有名なのが、「味の素」の多用をめぐる、アンチとの舌戦だ。議論となりがちな「うまみ調味料への批判」に真っ向から対抗し、2023年には『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』(河出新書)なる反論書まで刊行した。
料理への愛情から、信念を持って意図的に「火に油を注ぐ」こともあり、炎上ウォッチャーである筆者としては「果敢な炎上」だと評価してきたのだが、今回のセブン動画については「避けられた“残念な炎上”」だったと言わざるを得ない。
その理由には、「クオリティーコントロールが不足していた」「タイミングを見誤った」「ニーズと近いようで遠かった」の3点があると考えている。
1点目から言えば、スタッフが2本目の動画で謝罪していた通り、「リサーチ不足」でしかない。社長発言の時流に乗るとしても、なんとなく企画が固まっていないまま、焦って撮影に突き進んでしまったのではないかと感じるのだ。
実はリュウジさんは、1本目の動画内で、予防線を何度も張っていた。「炎上させたいの?」「売れ筋なんだよね?(スタッフに『定番だ』と返されて)そうなんだ……」と懸念を示したり、「これから弁当出すのよ俺。どことは言えないけど。そん時、ボロカス言われんぞ」と、ファミマコラボと思われる件に触れたり。
ついには「お蔵入りの可能性あるよ。俺の評判がすごい悪くなるよ」とまで発していたが、結論から言えば、お蔵入りにしていたほうが良かったように思える。
個人からチームになることで生じる壁
そこに2つ目の要因である、タイミングの問題が重なる。リュウジさんはもちろん、スタッフ側も、もうすぐファミマコラボの発表があることは認識していたはずだ。その点、「今この動画を投稿する必要があるのか」「もし投稿したら、どのような印象を与えるのか」について、どの程度考えていたかは疑問だ。
スタッフに起因する炎上でも、最終的に矢面に立つのは「出役」だ。加えて今回は、飛び火してファミマの印象も悪くなりかねない。もちろんスタッフひとりの責任ではない。リュウジさんをふくめた、チーム全体として、これが最適解だったとは思えない。
3点目については、そもそも「気軽な自炊」を求めてきた層に、「食べ比べ」はどう見えるのかという観点だ。どちらも「食」の点では共通しているが、手に届くまでのプロセスは異なる。価格帯や入手可能性などから、完全に同じターゲット層とは言えないだろう。わずかな違和感を感じていた、これまでの視聴者が反感を覚えていた可能性もある。
【画像18枚】リュウジさんが酷評レビュー、セブンの商品を買って検証してみると…
YouTuberは、人気が増えるごとに、「出役」だけでなく、スタッフなどの力を借りざるを得なくなる。しかし、関係者が増えれば増えるほど、クオリティーコントロールも難しくなる。
出役の個性に依存するYouTuberビジネスには、個人からチームになることで生じる壁もあるのでは、と感じさせる事案だった。
ちなみに、そばや弁当を買って検証してみると…
弁当はと言うと…
ビリヤニの容器は…
城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
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