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人口減でも「マンション家賃10%上昇」のなぜ 首都圏だけでなく大阪市、福岡市などで家賃高騰

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 9時0分

特に都市部の世帯数の伸びは大きく、国立社会保障・人口問題研究所(以降、社人研)の2015~2020年の世帯数増加率予測の伸び率は全国で1.45%予測に対して、実績は4.45%で306%(約3倍)違うし、東京都も同様に3.46%予測に対して、実績は7.86%で227%(約2.3倍)も違っている。

これを実績ベースで検証してみよう。都区部における2013~2018年の間の需給バランスは、新規供給は年2.1%あり、滅失(ストックを建て壊すもの)が年1.1%ある。滅失とは木造や鉄骨造であればおよそ30年で、鉄筋コンクリート造では50年で市場性を失い、解体することを指す。相続した築40年の実家を人に貸すことができるかと言ったら、難しいほうが多いだろう。そうしたことだ。

新規供給は年2.1%から滅失年1.1%を引いた1.0%を世帯数が上回れば需要過多、下回れば供給過多になる。この間の実績は1.1%だったので稼働率が上がった。2015~2020年の国勢調査期間での世帯数の増加は1.6%まで上がっているので、明らかな需要過多となり、稼働率がさらに上がっている。コロナ禍に需要が減退したものの、コロナ後の世帯数の伸びは年率1.9%となった現在、さらに賃料が上がっているのだ。

世帯数予測を当てるには

先ほどの社人研の世帯数増加率予測は年率0.7%で、実績は1.6%だった。予測の0.7%は需給が一致する1.0%より小さいので、この予測を信じれば需給は緩み、家賃は下がるはずだった。

これに対して、実績の1.6%の場合、家賃は上昇することになる。たかだか5年先のことなので、世帯数予測はほぼ当てなければならない。私は仕事で人口予測をするが、誤差を少なく当てることができる。なぜなら、5年に1回のデータしかない国勢調査に頼らず、毎年・毎月発表される住民基本台帳人口を用いて予測しているからだ。

2015年の国勢調査でも発表されるのは2017年頃になる。この2年経過した状況を住民基本台帳で把握すれば、予測期間は3年に縮まる。また、5年に1回のデータと毎年のデータでは5倍精度を上げることができる。予測は「当たれば官軍、外せば賊軍」なので、どんな手を使っても当てなければデータ提供先に迷惑がかかる。

稼働率が上昇している中で、新築の住宅着工は増やさないと、私たちは解体直前だった数十年の汚れと以前住んでいた人の独特の臭いがしみついた古い家に住むか、今よりも高い家賃の家に住むはめになる。私は今のニーズに合った新築をたくさん建てたほうがいいと考え、デベロッパーやハウスメーカーに供給過剰を心配するくらいたくさん建てることを推奨している。

家賃の高騰は今後も続くか

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