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「103万円の壁」めぐる国民・玉木代表の立ち回り 自民税調、妥協案で玉木氏の取り込み狙う

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 19時30分

これに先立ち、国民民主は6日、自民党への要望項目とりまとめのための会合を開催。毎日新聞の記事によると、その中で玉木氏は「抜本的な改正は税制改正などを伴うが、前倒しで補正対応できるものについてはエネルギー価格の高騰対策も含め、速やかに一つ一つ実現につなげていきたい」と述べ、政府が今月末にも策定する今年度補正予算案への要求内容盛り込みに強い意欲を示した。

ポスト求めず、「年収の壁」大幅引き上げを最優先

そもそも、衆院選を通じて玉木氏が指摘した「103万円の壁」とは、所得税がかかり始める年収103万円の課税基準のことだ。その内容は、超高所得者以外が対象の基礎控除(48万円)と、給与額に応じて一定額を差し引く給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超える年収になると、所得税の支払いが生じることを指している。

例えば年収105万円のパート従業員の場合、控除分の103万円を差し引いた収入2万円に対し、所得税5%分(1000円)が課税されるなど、手取り収入が減ることがパートやアルバイト従業員の働き控えにつながる「年収の壁」の1つとなっている。

しかも、所得税の支払いだけでなく、103万円を配偶者手当の支払い基準とする企業もあるため、収入減も意識して就業調整する世帯もあるとされる。この「年収の壁」には、他にも企業規模などに応じて社会保険料がかかり始める「106万円の壁」や「130万円の壁」などがあるが、国民民主は今回「103万円の壁」に絞って、自民と交渉する方針だ。

玉木氏は衆院選での議席4倍増を受け、時事通信のインタビューなどで、「手取りを増やす経済政策を訴え、若い人、現役世代にメッセージが明確に届いたことが議席を増やした要因だ。われわれは政策本位で、協力できるところは協力する」と選挙公約の実現を最優先する考えを繰り返してきた。

これに対し永田町では「玉木首相」誕生の可能性を指摘する声も出たが、玉木氏は「(野党に動きが出ても)乗らない。参院は自民、公明両党が過半数を持っており、それを踏まえて自民党が国民民主と政策協議をしようと決めてくれたのだから、これを動かしつつ、しっかり政策実現をしたい。今はポストではなく、政策実現が欲しい」と自民・公明両党との協議を最優先する立場を強調した。

その上で玉木氏は政策協議で妥協の可能性についても「(公約を)100%できるとは思っていない。ただ、手取りを増やすと訴え、(議席を)4倍にした以上は手取りを増やさないと駄目だ。(所得税負担が生じる)103万円の控除額を引き上げることは譲れない」とし、178万円という引き上げ額についても「まずは178万円。最初から発射台を下げる話はしない」と語った。

自民税調は「50万円程度の引き上げ」を検討

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