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「巨額赤字」日野自動車、大底脱すも見えない進路 財務指標は悪化の一途、統合の行方も見えず

東洋経済オンライン / 2024年11月9日 8時10分

資金繰りについても、詳細は明かさなかったものの「すでに策を練っている」「そこはご安心いただいて、対応策が明らかになった時点で公表する」と言い切った。

営業利益予想は上方修正

本業にも好転の兆しがある。

主力のトラック・バスは国内で大型トラックが好調だったものの、経済が低迷するASEANが落ち込んだため、4~9月のグローバル販売台数は前年同期比5.3%減となった。だが、トヨタ向けの車両は14.6%増と大きく伸びたことに加え、値上げの浸透や円安の追い風もあり、中間期の営業利益は前年同期から約3.6倍となる240億円となった。

通期予想でも売上高は期初の1兆6000億円から1兆6500億円へ、営業利益は同200億円から300億円へと上方修正している。前期通期の営業利益が81億円の赤字だったことを考えると最悪期は脱しつつある。

来期についても手応えを感じているようだ。

中野CFOは、「アジアの事業環境は今が底だ。今年度後半から少しずつ良くなってくるのではないか」とする。インドネシアはすでに回復基調が見えており、「確実な需要が生まれてきている」(同)。ローン審査の厳格化で需要が冷え込むタイは不良資産の処理が来夏頃には一段落し、「経済が回復してくるのではないか」と語った。

日本で不正が認められた2つのエンジンは出荷再開の望みが出てきた。1つのエンジンは2024年度内、もう1つは2025年夏頃の型式申請を目指しているという。

申請後の認可は国土交通省が判断することになるが、「一般的には申請後2~3カ月で認可をいただき、その認可証に基づいて車両を生産していく」(日野)。国交省の審査が通常より厳しくなる可能性はあるが、中野CFOは「出荷停止車両の販売が来年度のどこかで再開できるので、事業環境にプラスになるだろう」と期待する。

不採算事業の整理なども粛々と進めている。5月にはアメリカのアーカンソー工場を2027年中に閉鎖し、同工場における自動車用部品事業から撤退することを公表した。9月には、電動化が進む中国で車載・建機用エンジンの製造・販売を行う子会社の解散を発表している。

三菱ふそうとの経営統合が最大の焦点に

業績がトンネルを抜けつつある中、最大の焦点が三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)との経営統合の行方だ。

親会社であるトヨタ自動車が、日野と三菱ふそう統合を発表したのは2023年5月末のこと。トヨタと三菱ふそうの親会社にあたるダイムラートラックが折半出資で持ち株会社を新設し、日野と三菱ふそうを完全子会社にする。持ち株会社は日本で上場する予定だ。

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