不覚にも組織で再生産される「老害」の"怖い"実態 出る杭を「打つ」老害はあちこちで起きている
東洋経済オンライン / 2024年11月10日 9時0分
どうでもいいことを指摘されたり、話が通じなかったり。いま職場に「老害」だと感じる存在があって、自分は「そうなりたくない」と思っている人もいるかもしれません。しかし組織の文化やカラーにだんだん染まり、気づけば「老害脳」になっている可能性は誰にでもあります。
1万人以上の脳を診断した医師・加藤俊徳さんは、「老害」的な行動の多くは、脳機能の変化によって引き起こされていると考え、加齢とともに誰もが「老害脳」化するリスクがある、と説きます。加藤さんの著書『老害脳 最新の脳科学でわかった「老害」になる人 ならない人』から一部を抜粋し、組織における「老害」について考えてみます。
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組織の中で再生産される「老害脳」
人生の選択を経て、何らかの職業を得たり、職場に通ったりするようになると、よくも悪くもその組織の「文化」に慣れ親しんでいきます。
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いわゆる昔ながらの年功序列や、体育会系、軍隊的、服装にうるさい……という組織もあれば、自由度が高い、流動性が高い、カジュアルな服装で勤務可、リモートワークOK、役職や年次問わず「さん」付け……という柔軟な組織もあるでしょう。
もちろん、人によって合う、合わないというマッチングが生じます。合う人はそこで自分の価値が発揮されやすく、評価される仕事に結びつきやすいと考えるでしょうし、合わない人は常に転職情報をチェックしているでしょう。
たとえば、たまたま入社した会社が「体育会系」だったとします。先輩は常に尊敬するべし、上の命令には絶対服従、休まず働き弱音を吐かない人こそ出世する……という企業文化が徹底されていると、そこにもともと適性のあった人が残ります。
この時点で「老害」の温床になりやすそうですが、その一方で、最初はその文化に合わず、嫌だと感じていたような「老害」被害者も、やがてその状況に適応し始めるのです。
上がどんなに「老害」であっても文句は言わない、とルール化してしまえば、逆に迷いは消えます。影響力を行使できる人が強く、行使される人もその状況を当然だと考え始めれば、もはや多少の悪事が起きても組織内で問題にはならなくなるでしょう。
そして、組織文化は大きな問題や事件がないかぎり継承されていくため、かつての「老害」被害者たちも、すっかりその文化に適応して、ほかを知らない「専門家」となってしまいます。そして、時間が経過すると、かつての上司以上の「老害」になるリスクもあります。
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