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108歳女性「世界最高齢の理容師」に認定された日 裸眼で90年以上使い続けているハサミを操る

東洋経済オンライン / 2024年11月10日 17時0分

「毛がぶつかるところだけ黒く線ができたようになるので気にしていたんです」とおっしゃるので、線ができないように加減しながらカットしましたら、とても喜んでくれました。

「こんなふうに工夫して切ってもらったのは初めてです!」と感激してくれましてね、「パーフェクト! パーフェクト!」と何度も言ってくださいました。わたしもとてもうれしかったです。

世界最高齢の理容師認定は、ここ数年で一番思い出に残っている、わたしにとって大きな出来事でしたので、写真をお茶の間にも飾って、家族や親戚や友だちにも何度も話をしました(笑)。今では「おばちゃん、この前も聞いたよ」「よっぽどうれしかったんだねー」って、みんなから笑われているほどなんです。

それでね、ギネスブックの現在の記録が108歳で亡くなった人だから、「108歳になったらギネスブックにも載るかもしれない」って言われるとね、まだまだがんばろうって思います。

このことがきっかけで、次は109歳までハサミを持ちたいという、新しい目標ができました。

気がついたら大好きになっていた仕事

わたしが理容師になるなんて、夢にも思っていませんでしたよ。

それがひょんなことから、「床屋に見習いに行ってみないかい?」と友だちのお母さんに誘われて、父も同意して。「これからは、女も手に職をつけることが大事になるかもしれない。結婚しても旦那に先立たれたときに、身を助けてくれる職業かもしれないから、いいんじゃないか」。父はそう言ったんですよ。

それでわたしも、「お父ちゃんがそう言うなら、やってみようかな」って思ったんです。不思議ですね、108歳を迎えようとする今、前にも述べましたが、これは本当に父の予言でしたね。

それで、ひとりで上京したのが14歳でしたから、思えば、この道94年になりました。特に憧れた職業でもなかったんですけれど、気がついたらこの仕事が大好きになっていました。

散髪して顔を剃って、きれいになればお客さんが喜んでくれますからね。人に喜んでもらえるとわたしもうれしいですから。やり甲斐を感じるようになっていって、今に至っています。

人の話を聞くのが好きですから、お客さんが話すことを聞くのも楽しいです。「話を聞いてくれてありがとう」なんて言って帰るお客さんもいますし。知らないことを教えてもらったりもしますよ。そして、マイナスになるようなこととか、人の悪口とか、よくない噂話に乗るようなことは言わないようにしています。

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