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108歳女性「息子を井戸に沈めた」壮絶な子育て 障がいがある娘に「自分でできることは自分で」

東洋経済オンライン / 2024年11月11日 15時0分

あのときも寒くて、雪が降っていました。30センチくらい積もっていた橋の上で息子は正座をしてひたすら謝まり、「二度とこんなことはしません!」と何度も言いました。

「本当に、悪いことをした、ずるいことをしたと思うのね?」と念を押すと、「はい、心の底から思っています」。

わたしが特別厳しく叱ったのは、いけないことをしてごまかそうとする、言い訳をしたときでしょうか。息子は、水を汲んできてくれたり、家のこともよくやって助けてくれるいい子でしたけど、何か悪いことをしたときには厳しく厳しく、今で言う「体罰」のようなことをやりました。「父親の役目もしなくてはならない」と思っていたので、このような極端な叱り方をしました。

障がいがある娘にも「自分でできることは自分で」

娘には障がいがありましたが、わたしも忙しかったので、「自分でできることはできる限り自分でやること」をルールとしました。あの時代、障がいがある子のための教育制度はまだ整っていなくて、「無理に学校へ来なくてもいい」というような風潮だったんですよ。ただ本人には「学校に行って勉強したい」という強い気持ちがあったので、直接、小学校の教頭先生にお願いに行きました。でも「先生の目に入らないところでいじめられたりしたら、止めることができないから」と、その場で断られました。

「勉強したい」という娘のために、わたしはまず、「いろはかるた」を買いました。かるたで遊びながら文字を覚えさせようと思ったんです。それから、絵本なども少しずつ買ったりもらったりして集めては読ませて、漢字はふりがなの付いた本を何度も何度も読み聞かせしているうちに、だんだんと覚えてくれました。

算数は、かくれんぼをしている子どもたちの中に交ぜてもらって、鬼の隣にいて数の数え方を聞かせて覚えさせました。足し算と引き算は、お使いに行かせてお店でお釣りを勘定させて、少しずつ慣らしていきました。暮らしの中で、思いつくままの教育でしたけれど、何より、充子ががんばったので身についていきました。

危険がないようならば、本人のやりたいことを規制しないことも心がけました。やりたいことがあるのなら希望に添うように応援します。何かを始めてあきらめそうになったら、「自分で決めたことなのだから最後までがんばりなさい」と励まして。

障がい者を隔離しようとする傾向がある

娘は15歳頃まではよく泣いていました。子どもだけでなく、大人からも好奇の目で見られ、まねをされたり笑われたりするので、傷ついては泣いて泣いて。わたしは「みっちゃんは何も悪くないのだから、堂々としていればいいんだよ」となぐさめ、息子も一緒になって3人でよく泣きました。

娘は、20歳のときに、自分で決めて福祉施設に入所しました。そこで編み物を学んで、31歳で独立。それからは、たくさんの方に助けてもらってひとり暮らしをしています。わたしが想像していた以上に、強く成長してくれました。

娘を育てて感じたことは、世の中にどこか、障がい者を隔離しようとする傾向があるということです。

大切なのは障がい者とそうでない人がお互いを理解し合うということではないでしょうか。そのためには普通の学校、特別支援学校などと、分かれた環境では難しいのではないかと思います。

箱石 シツイ:理容師

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